【助産師執筆】産後8週(産後2ヵ月)
睡眠時間と授乳間隔について
毎日の授乳生活、大変な時期ですね。想像以上に授乳が頻回で、細切れ睡眠に驚かれている方もいるのではないでしょうか。連日そのような状態では、睡眠不足にもなりますし、体力がもたないと思う日もありますよね。今回は、どうやってこの授乳期を乗り越えるか、気になるこれからの赤ちゃんの睡眠時間と授乳間隔についてお伝えします!
- 赤ちゃんが頻回に起きるのは、睡眠サイクルと胃の容量が理由
- 夜間の授乳間隔は少しずつ空いてくる!
- 母乳育児ママは、自分の体調を最優先にする!
- 昼寝、家事の最小化、家族との協力で乗り越えよう
生後2ヵ月の赤ちゃんの特徴
この時期の睡眠のサイクルは?大人の場合は、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)の周期は90~120分ですが、赤ちゃんはその周期が短く、新生児では40~50分、生後3〜4ヵ月で50~60分です。月齢に応じて変化していきますが※1、特に月齢が浅い時期は頻繁に浅い眠りになり、目を覚ましてしまう可能性があります。一方で、赤ちゃんがおおよそ起きていられる限界時間の目安は、0~2ヵ月で1.5時間程度、2~4ヵ月で1.5~2時間程度で※2、そんなに長く起きていられないことも事実です。また、この時期は昼夜のリズムがみられないことも特徴です※3。
赤ちゃんに必要な1日の睡眠時間赤ちゃんが良好な状態でいるためには睡眠は必要不可欠です。そして、睡眠の取り方はその子その子で異なります。夜に多めに取る子もいれば、昼間にしっかり睡眠時間を取る子もいるでしょう。睡眠の取り方は赤ちゃんの個性にお任せしてOKです。そして、徐々に必要な睡眠時間は短くなっていきます。
月齢 | 1日の睡眠時間 |
---|---|
0~4ヵ月 | 14~17時間 |
4~12ヵ月 | 12~15時間 |
12ヵ月~2歳 | 11~14時間 |
3~5歳 | 10~13時間 |
赤ちゃんのおなかの発達も睡眠時間に関係!
もう一つ睡眠時間と関連してくる要素は、赤ちゃんの胃袋の大きさです。胃袋の大きさは、新生児で50㎖、生後1カ月では90〜 150㎖、3ヵ月で140〜 170㎖になります※4。
最初は本当にわずかな容量しか無いため、何度も授乳をしなければならないのも納得ですね。しかし、徐々に大きくなって、たくさん飲めるようになるので安心してくださいね。
夜の授乳間隔は少しずつ空いてくる!?
赤ちゃんが夜に何度も起きて授乳をすることには、このような睡眠の特徴や胃の大きさに理由があったのです。しかし、次第にお口も胃もどんどん大きくなり、吸い取る力も強くなります。それに伴って、おっぱいやミルクを上手に飲めるようにもなってきますので、一回に飲める量も増えてきます。
「この生活はいつまで続くの?」と気になりますが、少しずつ夜に寝る時間が長くなってくるので安心してくださいね!今までより1時間長く寝てくれるだけでも、体は楽に感じるはずです。
授乳間隔は赤ちゃんの睡眠に合わせるべき?
母乳育児の場合赤ちゃんが長く寝てくれるようになると嬉しいのですが、この時期に注意したいのはおっぱいのトラブルです。一般的に母乳を作るサイクルが落ち着いてくるのは3ヵ月程度と言われています。そのため授乳間隔が、急に極端に長くなると乳腺炎などのトラブルが起こりやすいです。ママがおっぱいの痛みを感じた時などは、ママの体のことを優先に考えて、赤ちゃんを起こして授乳をしましょう。ここで無理に搾乳をしてしまうと、赤ちゃんに必要な量以上に母乳が作られることになります。どうしても飲んでくれない場合は、軽く絞る程度にしましょう。おっぱいが硬くなっても、次の日の日中に徐々に柔らかくなれば大丈夫です。
ミルクを上手に使おうミルクは消化するのに母乳の約2倍の時間がかかると言われています。逆に言うと、母乳よりも腹持ちが良いのです。夜間の授乳に疲れた時は、無理に多くの量を飲ませる必要はありませんので、赤ちゃんがひとまず落ち着いてくれるように、ミルクを足してみるのも良いのではないでしょうか。
頻回授乳が大変な時期の乗り越え方!
赤ちゃんが寝ているときは昼寝をする赤ちゃんはこの時期、睡眠リズムが未熟で、昼夜かまわず寝る時期です。赤ちゃんが寝ているときに家事を済ませようと、ついつい動きたくなってしまうかもしれませんし、いつ起きるか分からないと思うと落ち着かず何もできないという方もいるかもしれません。また、ついついスマートフォンを触っていると、アッと言う間に赤ちゃんが起きてしまうということもあるでしょう。しかし、この時期はママとパパにとって休息が最も大切です。隙間時間でも意識して横になって目を瞑ってみてください。特に産後のママの体は、短時間でも深く眠れる体に変化しています。少し眠れるだけでもスッキリすると思います。
家事は出来るだけ手を抜くこれまでのコラムでもお伝えしていますが、産後は出来るだけ家事を最小限にして、休息の時間を確保できるようにしてくださいね。そのうち、赤ちゃんも昼夜のリズムがついてくる時期が必ずきます。その時までの期間限定!と割り切って、生活してみましょう。
家族と協力するまた、パパがお仕事をされている場合には、夜間2~3時間だけ交代してもらうのも良いでしょう。また、平日がワンオペ育児になる場合には、お休みの日は他の家族に協力してもらい、その日だけでもママの休息が取れるようにしてみましょう。母乳育児をしているママも”3~4時間"と時間を決めて休み、それまでは家族があやしたり、時にはミルクを少量だけ使って面倒を見てもらうことだって可能です。
いかがでしたでしょうか?少しでも今の時期を乗り越えるヒントになれば幸いです。自分がしんどい時は、周りにSOSを出しながら、相談して色んな方法を試してくださいね。
また、気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。
※1 NHKスペシャル取材班,ママたちが非常事態!?最新科学で読み解くニッポンの子育て,ポプラ社,2016
※2 ねんねママ(和氣春花), すぐ寝る、よく寝る赤ちゃんの本, 株式会社青春出版社, 2021
※3 未就学児の睡眠•情報通信機器使用研究班,未就学児の睡眠指針,愛媛大学医学部附属病院睡眠医療センター,2018, 2022/03/19閲覧, ※4 保育所における食育に関する調査研究報告書, 社会福祉法人日本保育協会, 2022/5/23閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/content/000375711.pdf
https://www.nippo.or.jp/research/2012.html
記事を執筆したのは…
株式会社With Midwife
代表取締役
岸畑 聖月
きしはた みづき
PROFILE14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。
本記事のイラスト:Junphant
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