【助産師執筆】産後11週(産後2ヵ月)
大好きな家族を目で追う赤ちゃん
毎日めまぐるしく成長していく赤ちゃん。そのスピードには驚かされますね。最近は少しずつ目線が合ってきたり、ママやパパのお顔をじっと見つめることも増えたのではないでしょうか。赤ちゃんの目も、実は段階を踏んで少しずつ成長しています。今日は、そんな目の発達と、赤ちゃんの五感を育む月齢に合わせたおすすめの遊びを紹介します!
- 赤ちゃんの視力は数ヵ月で急激に発達し、その後緩やかに発達
- 目の動きが完成するのは、生後6ヵ月
- 色の認識の仕方も徐々に成長していく
- 気になるときは眼科でチェック!健診も大切!
- 成長に合わせた遊びで、五感の発達にGOOD
赤ちゃんの目はこうやって発達する!※1
お腹の中の赤ちゃんの視力赤ちゃんの視力は、お腹の中にいる頃から徐々に発達しています。24週頃には、光に対して顔をそむける事ができます。32週頃に産まれた赤ちゃんも、物に対して反応し、じっと見ることもできるんですよ。
赤ちゃんの視力と眼球の発達赤ちゃんの出生後の視力は0.02〜0.05とぼんやりしており、顔を近付けるとなんとなく分かる程度です。生後6ヵ月で0.1となり、薄っすらと輪郭が分かる程度でしょうか。最初の数ヵ月のうちに急激に視力は発達し、3歳頃に1.0に達します。その後も8歳くらいまでに緩やかに発達していきます※2。
眼球を動かす能力も徐々に取得していきます。目の機能が未熟で眼球の動きが不安定ですが、下の方を見る動きから発達し、ほぼ6ヵ月で完成します。このため、下の方から物を見せる方が良く反応してくれますよ。6ヵ月までは眼球が下向きになり、瞳が下瞼に隠れてしまうような現象が出たり、寄り目に見えてしまうことも珍しくありません。心配しなくても大丈夫です。
赤ちゃんは色の見え方も成長に伴って変わってきます。生後2ヵ月頃は、赤と緑の区別はつきますが、青と黄色の区別は未だつきません。生後3~4ヵ月になると、青黄の区別がつくようになります。そして生後5ヵ月になると、周りの照明の色が変化しても、物体の色を安定して認識するようになります。
赤ちゃんのおもちゃは、色の違いが認識しやすいように、明るくてはっきりした色を使ったものが多いですね。柄も赤と白の縞々や、大きなドット柄など、はっきりとした柄の方が興味を示しやすいです。
視覚の発達でこんなことが出来る!
生後1~2ヵ月を過ぎると、動く物体に焦点を合わせてじっと見ることができます。さらに視力と大脳の機能が連結され、3ヵ月以降には、ママやパパの顔を見て感情を表すようになります。人見知りをするようになるのは、4〜5ヵ月頃からと言われています。しっかりと目から得た情報を処理できるようになっているからですね。首がすわるにつれて視野も広くなり、今まで以上に周囲に興味を示すようになります。視力と運動機能が結びつく5〜6ヵ月には、見える物を取ろうとします。
こんな時は眼科で相談しよう!※3
どんどん発達する赤ちゃんの目の状態ですが、異常を感じた場合はなるべく早く治療をすることが望ましいです。一度赤ちゃんの目の状態をチェックしてみて、以下に挙げたような項目に当てはまれば、早めに眼科に相談しましょう。
こんな様子があれば眼下を受診
- 瞳が白、黄緑色に光っている
- 目が揺れている
- フラッシュをたいて正面の写真を撮ったときに、反射が瞳の真ん中に映らない
- 片目の前にそっと目をかざすと、どちらかだけ嫌がって顔をそむける
悩んだときは、かかりつけの小児科の先生にまずは診てもらうのも良いですね。1歳半健診や3歳児健診でも、医師の診察で総合的に発達を診てもらう機会があります。特に3歳児健診では視力検査があるので必ず健診を受けましょう。
五感を使ったおすすめの遊び
赤ちゃんの成長に合わせたおすすめの遊びを紹介します!視覚を含めた五感の発達にも良いので、是非行ってみてくださいね。
- ●0~1ヵ月
- 赤ちゃんを抱っこしたときに、ママやパパも笑ったり、泣き顔をしたり色んな表情を見せてあげましょう。抱っこぐらいの距離ならば、なんとなく認識することができます。赤ちゃんも色々な表情を学んでいきますよ。
- ●2~3ヵ月
- 物をじっと見つめたり、目線で追いかける事ができる時期です。色のはっきりしたおもちゃや音のなるおもちゃを使って「どこかな~」とお顔の前でゆっくり移動させてあげましょう。
- ●3~4ヵ月
- 首もすわってくる時期です。外向き抱っこやうつ伏せ遊びをしながら、色んな姿勢で色んな景色を見せてあげましょう。ねんねの時期とは違う世界が広がりますよ。
また、指を絡ませて掴みやすいおもちゃを選んであげましょう。自分で握って動かすようになり、自分でもおもちゃの動きを楽しめます。 - ●5ヵ月頃
- うつ伏せになってしっかりと顔をあげられる時期です。その状態で、目の前でボールやおもちゃをころがしたりしてみましょう。首もしっかりと使っておもちゃを追いかけ、場所もしっかりと認識して手で掴もうとするでしょう。
- ●6~7ヵ月
- おすわりが出来るようになると、手を使うことができます。手遊び歌などを歌ってあげると、ママやパパの手の動きもしっかりと見て、繰り返すうちに真似をしてみる姿も見られるでしょう。また、取れる位置におもちゃを置いてあげると、自分で欲しいものを掴むという練習にもなります。
いかがでしたでしょうか。どんどん出来ることが増えていく赤ちゃんの姿は、見ていて飽きませんね。その分戸惑うこともあるかもしれませんが、気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。
※1 仁志田博司, 新生児学入門 第4版,株式会社医学書院, 2012,p 33-34
※2 目の健康チェックシート, 公益社団法人日本視能訓練士協会, 2022/6/7閲覧,
http://www.jaco.or.jp/wp-content/themes/jaco_renew/assets/pdf/check.pdf
※3 楊 嘉楽, 乳児における色知覚の発達, 日本色彩学会, 第34巻第2号, 2010, p157‐163
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10749376_po_ART0009473600.pdf?contentNo=1&alternativeNo=
記事を執筆したのは…
株式会社With Midwife
代表取締役
岸畑 聖月
きしはた みづき
PROFILE14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。
本記事のイラスト:Junphant
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