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【助産師執筆】産後12週(産後3ヵ月)
どれも性教育の第一歩?!
紙・布・おむつなし育児それぞれの考え

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生後3ヵ月の赤ちゃんの体重は、生まれた頃の約2倍になります。※1
発達面では首がすわってきたり、声を出して笑うなど感情豊かになります。個人差もありますが、追視ができるようになり“ハンドリガード”という自分の手をじっと見つめて動かす、可愛らしい仕草が見られることもありますよ。授乳回数は、うまく間隔が空くようになれば5~6回/日となってきます。排泄回数はまだ15~20回/日程度と多いですが、月齢が進むにつれて1回量が増えることにより、おむつを替える回数は減ります。※2
排泄の仕組みですが、まず尿が膀胱にたまるとそのことが大脳皮質に伝わり、尿意として感じられます。この働きは成長とともに発達していきますが、反射的に排泄することなく、大脳皮質から「トイレまで我慢する」という指令を受け取れるかどうかがおむつ外しのポイントです。今回はそんな排泄、特におむつに関するお話をしていきます。

  • おむつ育児には紙・布・おむつなしという選択肢がある
  • 紙・布・おむつなし育児にはそれぞれ特徴がある
  • おむつ外れの時期はひと昔前に比べて遅くなっている
  • おむつ替えは親子の大切なコミュニケーション
  • おむつ替えをきっかけに性について考えることが、大切な性教育の第一歩


おむつ育児の選択肢

おむつは、紙・布・おむつなし育児の3つに大きく分けられます。こちらにそれぞれの特徴をまとめました。

●紙おむつ
テープ型とパンツ型の通気・吸水性能に優れた使い捨ておむつ

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赤ちゃんのメリット
  • 吸水性や保水性が高いので、赤ちゃんにとってあまり不快にならない
  • 成長や発達に合わせてバリエーションを選べるので、サイズや形があうものが多い
大人のメリット
  • 布おむつよりもかさばらないため、外出時の荷物がコンパクトになる
  • 使い捨てのため、お洗濯の時間や手間が省ける
デメリット
  • 紙おむつ代のコストがかかり、常にストックしていなくてはならない
  • おむつ替えの分だけゴミが出る
●布おむつ
吸水性のある布や綿をあて、おむつカバーで体に密着するように固定するおむつ

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赤ちゃんのメリット
  • 排泄したら不快感があるため、「変えて欲しい」という欲求を伝えることができる
  • おむつかぶれなどを起こしにくい
大人のメリット
  • 1度買い揃えれば、半永久的に使用できるため何度も買う必要がない
  • 紙おむつゴミを減らせるので環境に優しい
デメリット
  • つけ置きやお洗濯の時間や手間がかかる
  • かさばるため、外出時の荷物が多くなる
●おむつなし育児
普段何もつけないという訳ではなく、排泄しそうだなと思ったら、おむつの外(おまる・トイレ・開いたおむつの上など)で後ろから支えてあげる姿勢で排尿させる方法。※3

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赤ちゃんのメリット
  • おむつを外す時間が増え、からだの動きが活発になる
  • 排泄コントロールが養われ、排泄の自立が早くなることが多い
大人のメリット
  • 赤ちゃんの他の欲求にも気がつくようになる
  • 紙おむつゴミを減らせるので環境に優しく、おむつ代が節約できる
デメリット
  • 短期的にみると、おむつの中で排泄させるよりも手間がかかる
  • 洗濯物が増えることもある

いかがでしょうか?特徴をふまえながら自分たちの生活に合わせ、使いやすいものを選びましょう。シチュエーションごとにそれぞれのおむつ育児を組み合わせる方法もありますよ。


実は、おむつ外れの時期が遅くなっている?

日本では、おむつ外れの時期が遅くなっているという報告があり、この要因の1つがトイレトレーニングを開始する時期の遅れだと考えられています。※4
ひと昔前は、1歳代でおむつが取れていたのが徐々に遅くなり、今では3歳でも取れていないこともあるようです。また、高い月齢でトイレトレーニングを開始し、短い期間で終了する家庭が増えているともいわれています。これは両者に負担が少なく良い傾向だともいえますね。考え方や商品の性能などが時代とともに変化していることも影響のひとつですが、いつの時代も大切なことは、子どものことをよく観察することです。排泄の時、そのサインを見つけ、「おしっこしたんだね。偉いね。」などと声をかけてあげましょう。また、動きが止まったり、ぶるっとする、もじもじする、落ち着かないなどのサインに気づいてあげると良いですね。どんなおむつをしていたとしても、タイミングに気づいた時にトイレに誘導することが、おむつ外れの時期を早める近道になるでしょう。


おむつ替えは、親子の大切なコミュニケーション

このように、おむつについて比較してみましたが、どれも大人の都合ではなく、子どもにとって自然な形での排泄を目指すことが大切ですね。排泄のタイミングをキャッチすることは、まだお話しできない時期から、子どもが出すサインを見つけることができ、観察のスキルが上がったりコミュニケーションが上手に取れることに繋がります。
その際に大切なことは、大人が焦ったりイライラしないことです。トイレトレーニングやおむつ外れの時期も、親子それぞれの生活スタイル、性格、環境によって全く異なります。「叱らない・焦らない・比べない」を意識し、親子が無理せず成長に応じた発達段階ごと、できる範囲で楽しめると良いですね。
そして、うまくいったときは思いきり褒めてあげましょう。発達の原動力は成功体験です。子どもにとって、大人とのやりとりの中でうまくいったという成功体験の積み重ねがとても重要な鍵なのです。また、そうしたやりとりによって、排泄を我慢することなく大人にSOSを出せることができるようになってきますね。


おむつをきっかけに性について考える第一歩を!

幼児期から性教育を、と聞くと驚かれるかもしれません。ですが、近年ではユネスコなどが性を人権として大切にする科学的な性教育のガイダンスを作成するなど、国際的な性教育が進められています。※5
赤ちゃんの時期からおむつ替えの際には、お子さまの性器やプライベートゾーンに触れますよね。これは性教育にとってとてもいいチャンスです。清潔になったら「気持ちいいね」と伝えたり、汚れたらすぐに替えてあげることで「自分のからだ・性を大切にするんだよ」ということを共有しましょう。
とはいえ、ママパパ自身も、赤ちゃんが同性異性に関わらず、おむつ替えの際の洗い方・拭き方は慣れるまで心配ですよね。わからないことがあればかかりつけの病院のスタッフに気軽に聞いてみましょう。保育園・幼稚園の先生や、身近に育児の先輩がいればその方でも良いですね。
どのおむつ育児においても、優しく声かけを行いながら、アイコンタクトをとって信頼関係を築いていくことが大切です。そういった信頼関係を今から築くことで子どもは成長とともに、わからないことは素直に親に質問してきます。その時までの準備だと思って、おむつ替えをきっかけにご夫婦で協力し合い、性や身体の仕組みについて考え、家庭の中で知っていくことから学んでいきましょう。

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今回はいかがでしたか?おむつの時期は常備するものが多く大変ですが、おむつが手に入らない災害時や緊急時にはどうしたら良いかご存知でしょうか。実はスーパーのレジ袋やタオルなどでも簡易おむつが作れるんですよ。※6
万が一の時に備え、いくつかの方法を知っておくと良いですね。

気になることがあれば、いつでもXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 厚生労働省,II 調査結果の概要,2022/06/25閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/73-22-01.pdf

※2 一般社団法人 日本衛生材料工業連合会,衛生関連製品,Q.赤ちゃんは1日に何回位おしっこや便をして、量はどのくらいですか,2022/06/2閲覧,
https://www.jhpia.or.jp/product/diaper/baby/physical.html#:~:text=%E6%8E%92%E6%B3%84%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0%E3%81%AF%E5%80%8B%E4%BA%BA,30ml%E7%A8%8B%E5%BA%A6%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

※3 おむつなし育児研究所,2022/06/25閲覧,
https://www.omutsunashi.org/try

※4 調査研究 公益社団法人 日本小児保健協会,2022/06/25閲覧,
https://www.jschild.or.jp/research/study/

※5 公益財団法人 日本女性学習財団,包括的性教育,2022/06/25閲覧,
https://www.jawe2011.jp/cgi/keyword/keyword.cgi?num=n000280&mode=detail&catlist=1&onlist=1&alphlist=1&shlist=1

※6 東京都発行 防災ブック「東京防災」,簡易おむつの作り方 防災手帳,2022/06/25閲覧,
https://emg.yahoo.co.jp/notebook/contents/article/diapers190214.html#:~:text=%E7%81%BD%E5%AE%B3%E6%99%82%E3%81%AE%E7%9F%A5%E6%81%B5%E7%B0%A1%E6%98%93%E3%81%8A%E3%82%80%E3%81%A4%E3%81%AE%E4%BD%9C%E3%82%8A%E6%96%B9,-%E7%81%BD%E5%AE%B3%E6%99%82%E3%80%81%E8%B5%A4%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93&text=%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%82%81%E3%81%AE%E3%83%AC%E3%82%B8%E8%A2%8B%E3%82%92,%E3%81%AE%E5%89%8D%E3%81%A7%E7%B5%90%E3%81%B3%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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