#{title}

【助産師執筆】産後14週(産後3ヵ月)
赤ちゃんの皮膚に赤い発疹!
気になる突発性発疹とは?

#{title}

生後3ヵ月を迎え、今後お子さまが発熱するという状況があるかもしれません。
特に夜間や緊急受診の際は、ママもパパも慌ててしまいますよね。
健康保険証・こども医療証・母子健康手帳の置き場所や、病院の連絡先を日頃から家族で共有しておくことが大切です。
また、皆さんはお子さまの平熱を把握していますか?赤ちゃんの平熱は36.5〜37.5度と大人よりも高く、体温調整も未熟です。
顔が赤く熱いと思っても、掛け物や衣類などを調整することですぐに下がることもあります。しかし、何だかいつもと違う!?というママやパパの勘は、大切な情報だったりもします。
今回はお子さまが高熱を出す「突発性発疹」についてお伝えします。

  • 突発性発疹とは、ヒトヘルペス6型・7型ウイルスが原因の感染症
  • 高熱と解熱後の赤い発疹が特徴
  • 生後6ヵ月頃に母体由来の免疫物質が低下するため感染予防が必要
  • 対症療法が主だが、緊急時は電話相談もしくは受診を


突発性発疹とは

ほとんどが乳幼児期にかかり、ヒトの唾液の中などに含まれているヒトヘルペスウイルス6型(以下HHV-6)と、ヒトヘルペスウイルス7型(以下HHV-7)が原因となる感染症です。
発症年齢は0歳〜1歳で99%と多く、HHV-6による感染だと1度かかるだけの場合もありますが、HHV-7による感染だと、2度目として2〜3歳頃に感染することもあります。
潜伏期間は9〜10日とされ、地域的・季節的な流行はなく、予防・治療方法としてのワクチン開発はされていません。※1


突発性発疹ってどんな症状があるの?

突然38〜40度以上の高熱から始まり3日間程の発熱が続きます。軟便気味になることがありますが、その他の風邪症状はありません。
高熱のわりに比較的機嫌も良く、母乳やミルクの飲みなど食欲は落ちないことも特徴で、熱が下がり湿疹が出る時期に不機嫌になることで突発性発疹だったかな?と気付く方も多いです。解熱後に出る赤い発疹は、おなかから胸、背中、お顔、手足と全身に広がっていきます。
見た目が気になり心配になる方も多いと思いますが、特に痒みや痛みがあるわけではありません。
急に不機嫌になることがあり、ぐずぐずされると具合が悪いのではないかと心配になりますが、突発性発疹では解熱後の不機嫌というのは珍しくありません。発疹は数日で消えて、機嫌も回復していきます。

#{title}


赤ちゃんの免疫について

突発性発疹に、ほとんどが乳児期にかかる理由はなぜでしょうか。
それは、生後6ヵ月頃がちょうどママのお腹にいる時に胎盤を通してへその緒からもらっていた免疫力が減る時期だからです。そのため、この頃から少しずつ風邪や感染症にも気をつける必要があります。
赤ちゃんは母乳からも同じく免疫をもらうことができますが、ママのお腹にいる時からずっと抗体が大切な赤ちゃんを守ってくれているとは、なんとも素敵なことですね。


感染予防対策はあるの?

突発性発疹は、その診断がつく頃にはウイルスの排出はなくなりますが、発熱前後のお子さまの鼻水や唾液などの分泌物には感染力があると考えられます。
そのため日頃から手洗いを行うことが基本的な感染予防の方法ですが、兄弟がいたり、保育園などにすでに行かれている場合は、正しい感染予防をすることはとても難しいです。
そのため、大人が人混みを避けるなど行動に配慮することや、お子さまの衛生行動をしっかり手伝うことも大事な視点です。
お子さまが日常生活に戻るタイミングとしては、保育所における感染症対策ガイドラインによると、突発性発疹後の登園の目安は「解熱し機嫌が良く全身状態が良いこと」とされています。※2


知っておくと役立つ留意点とは

突発性発疹は、自然に経過をみることが多いです。
そのため、通常は特別な治療やお薬などはありません。ですが、お子さまの状態に合わせて対応も変わってきます。
状況別にまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。

<平日や日中>
・受診
かかりつけの病院の診察時間に受診して下さい。事前に発熱していることを電話で伝えておきましょう。そこで診察時間を指定される場合もあります。その後は、受診結果をはじめ、お子さまの状態について家族の間で情報共有をしておくことも大切です。発熱中のお子さまを連れての病院受診は本当に大変ですよね。家族や知人の方へ、状況を電話やメールで伝えるだけでもほっとするものです。
・看病の準備
看病中はお子さまの側からなかなか離れられません。
日中のうちに冷却まくらなどの保冷グッズ、ミルク、おむつをはじめとした赤ちゃん用品があるか確認できると良いですね。
看病というのは心身ともに疲れるものです。
1人で頑張ろうとせず、パートナーと協力しあったり、身近にサポートしてくれる人がいれば力を借りたりすることも大切です。
・食事や休息
感染対策や、休息を優先するという点において、食事はデリバリーや宅配サービスを活用することもおすすめです。
睡眠や休息を確保できるよう家事なども無理せず、休める時にお子さまと一緒に横になりましょう。

#{title}

<休日・夜間>
・受診
発熱しても、慌ててすぐに救急受診する必要はありません。
母乳やミルクをいつもと同じように飲めており、排泄も普段通り、機嫌も良ければしばらく様子をみましょう。
もしもの受診のために、毎月の市報でも休日・夜間対応の病院に関するお知らせが掲載されていますので、そちらも日頃から確認しておきましょう。
・医療相談
とはいえ、お子さまのことはとても心配だと思います。例えば、さっきまで発熱中でも機嫌が良かったのに気づいたらぐったりしていたり、冷やしているにも関わらず熱が39.0℃、40.0℃…とどんどん上がっていったりすると、不安ですよね。また、悪寒で震えているのか、けいれんなのか判断がつかない場合もあると思います。受診した方が良いか困った場合に「子ども医療電話相談事業」があります※3。#8000をプッシュすれば、小児科医や看護師に電話相談ができます。
・緊急時
突発性発疹で、まれに熱性けいれんを起こすことがあります。
熱性けいれんとは、生後6ヵ月から5歳までに、発熱時に起きるけいれん発作のことです。可能であれば、けいれんの様子や続いた時間など覚えておくと後で役に立ちます。スマートフォンなどを活用してお子さまの様子を動画撮影することもおすすめです。
もちろん明らかなけいれんの場合は、迷わず119番発信から救急車を呼んで下さい。救急車を呼んでも良いか迷う時は「救急安心センター事業」があります※4。#7119をプッシュすれば電話相談できますので、ご自身のお住まいが対応しているか確認しておくと良いでしょう。

#{title}


今回はいかがでしたか?突発性発疹がきっかけで、初めてお子さまの看病を経験することもあるでしょう。
ご家族で協力し合い乗り越えられるよう応援しています。気になることがあれば、いつでもXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 突発性発疹とは,国立感染症研究所,IDWR 2003年第28号掲載,2022/06/26閲覧,
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/532-exanthem-subitum.html

※2 保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版),厚生労働省,2022/06/26閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf

※3 子ども医療電話相談事業(#8000)について,小児・周産期医療について,厚生労働省,2022/06/26閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html

※4 救急安心センター事業(#7119)ってナニ?,救急車の適時・適切な利用(適正利用),総務省防災庁,2022/06/26閲覧,
https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate007.html


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

ページの先頭

W/Story 目次一覧へ