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【助産師執筆】産後16週(産後4ヵ月)
保活って必要?いまさら聞けない保活について

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こんにちは。みなさんの中には、育児休暇明けの職場復帰を希望している方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そこでよく相談いただくのが、保活問題。
保育施設を利用したいのか、利用するのであればいつ頃からが良いかを考えることから保活は始まります。
近年では徐々に保育園入所困難な待機児童数は減ってきていますが、0~1歳の低年齢から保育施設を利用する予定がある場合は、早めに施設情報を調べ始めて準備しておくことが大切です。
また、生まれ育った地域ではなく、核家族で子育てをする方も増えています。地域のつながりが減っている中での保活は情報も集めにくく、不安や心配事が絶えないかもしれません。
今回は、保活に必要な基本知識を整理して、情報収集につなげていただければと思います。
2022年は育児・介護休業法改正もありました。
制度やサポートを活用しながら、新生活を迎えられるようにイメージしていきましょう。

  • 入所を考えている自治体の情報収集から始めよう
  • 認可保育園を目指すなら自治体ごとの保育指数を知るとGOOD!
  • 大切なことは実際に保育園施設の見学に行ってみること
  • ファミリー会議で作戦を立てよう


  • はじめての保活

    保活って何?

    子どもを保育所に入れるために、保護者が行う活動のことです。
    保育所について情報収集、保育所の見学、自治体が行う保育所相談の参加、申し込み準備、申請などをさします。

    開始時期※1

    保活を開始した時期は、出産後6ヵ月以降とした人が最も多いようです。出産後6ヵ月未満や妊娠中•妊娠前から開始した人も一定数います。

    気になる保活の結果

    厚生労働省の調査では、希望通りの保育施設を利用できた人は全体の約半数、次いで希望通りでないが認可保育園等を利用できた人、認可外の保育施設を利用できた人が続きます。
    保育施設等を利用できなかった人は全体の5%未満でした。

    保育施設の種類を知ろう※2

    国が定めた認可基準を満たし、都道府県知事に認可を受けて運営する保育所「認可保育園」と認可を受けずに運営する保育施設「認可外保育施設」があります。
    主な違いは、設置基準、補助金の有無、保育料、無償化の範囲の4点です。

    • ●認可保育園
    • 幼稚園(3歳から5歳)
      小学校以降の教育の基礎をつくるための幼児期の教育を行う学校です。
      • 管轄:文部科学省
      • 利用時間:昼過ぎごろまでの教育時間に加え、園により午後や土曜日、夏休みなどの長期休業中の預かり保育などを実施
      • ※保育の必要性の認定を受けると利用日数に応じて月額上限額範囲内で預かり保育の利用料が無償となります。※9
      • 利用できる保護者:私立幼稚園は制限なし。ただし公立幼稚園に関しては、基本的に居住地が幼稚園が位置する市町村であることが要件になることが多い
      保育所(0歳から5歳)
      就労などのため家庭で保育のできない保護者に代わって保育する施設です。
      • 管轄:厚生労働省
      • 利用時間:夕方までの保育のほか、園により延長保育を実施
      • 利用できる保護者:共働き世帯、親族の介護などの事情で、家庭で保育のできない保護者
      認定こども園(0歳から5歳)※3
      幼稚園と保育所の機能や特長をあわせ持ち、地域の子育て支援も行う施設です。
      • 管轄:内閣府 幼保連携推進室(厚生労働省・文部科学省)
      • 0歳から2歳
      • 利用時間:夕方までの保育のほか、園により延長保育を実施
      • 利用できる保護者:共働き世帯、親族の介護などの事情で、家庭で保育のできない保護者
      • 3歳から5歳
      • 利用時間:昼過ぎごろまでの教育時間に加え、保育を必要とする場合は夕方までの保育を実施、園により延長保育も実施
      • 利用できる保護者:制限なし
      • ※保護者の就労状況が変わっても、通いなれた園を継続して利用可能

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    • ●地域型保育事業(0歳から2歳)
    • 保育所(原則20人以上)より少人数の単位で、0から2歳の子どもを保育します。家庭的保育(保育ママ)、 小規模保育、事業所内保育、居宅訪問型保育などがあります。

      • 管轄:市町村(認可事業)
      • 利用時間:夕方までの保育のほか、園により延長保育を実施
      • 利用できる保護者:共働き世帯、親族の介護などの事情で、家庭で保育のできない保護者

    • ●認可外保育施設※4,5
    • 都道府県知事等の認可を受けていないが、保育所等と同様の業務を目的とする施設で、企業主導型保育施設、ベビーホテル、ベビーシッター事業者などがあります。

    • ●企業主導型保育施設※6
    • 企業が従業員の働き方に応じた柔軟な保育サービスを提供するために設置する保育施設です。

    • ●認証保育園※7
    • 現在の認可保育所だけでは対応できない待機児童解消のために、東京都をはじめとした大都市で、各自治体の基準を満たし「認証」を受けている施設です。
      ※国の認可は得ていないため分類としては「認可外保育園」となります。


    早すぎることはない!自治体の情報収集※2

    入園クラスはその年度の4月1日の満年齢で決まります。(例:4月1日時点で0歳ならば、0歳クラス。1歳になっていたら1歳クラス)地域によっては月齢が上がると入りにくい、0〜2歳までの倍率が高いなど、自治体ごと定員状況が異なります。
    助成や保育料の基準など最新情報を知るためにも、各地域の窓口で直接確認することが大切です。妊娠出産を機に引っ越しを検討される場合にも要チェックです。

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    教育・保育給付認定

    認可保育園を利用する際に、教育・保育給付認定を受ける必要があります。
    認定には、子どもの年齢や保育の必要性に応じて、1号認定から3号認定まで3つの区分があり、利用できる施設や時間が変わります。

    教育標準時間認定
    ・1号認定:満3歳以上の小学校就学前で学校教育のみを受ける子ども
    保育認定
    ・2号認定:満3歳以上の小学校就学前で保育を必要とする子ども
    ・3号認定:満3歳未満の保育を必要とする子ども

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    利用調整
    「基準指数」と「調整指数」の合計点で「保育指数」が決まり、各自治体の基準により、認可保育園の入園選考で、利用する施設の調整が行われます。
    「基準指数」は、保護者の就労状況や介護、健康の状態など、基本状況を点数化した指数です。
    「調整指数」は、自治体によって異なる基準が設けられていて、保護者の状況などに応じて保育の必要性などから優先順位がつきます。
    ひとり親家庭、生活保護世帯、生計中心者の失業、お子さまに障害がある場合などには、保育の優先的な利用が必要と判断される場合があります。
    ※認可外保育園、認証保育園は独自に選考されます。
    保育料

    国の上限額の範囲内で各市町村がそれぞれに定めます。

    保育料算出のポイント

    • 保育料は保護者の所得をもとに算出
    • 多子世帯やひとり親世帯等は負担軽減あり
    幼児教育・保育の無償化※9

    幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳までの全てのお子さま、0歳から2歳までのお子さまについては、住民税非課税世帯を対象として利用料が無料になります。企業主導型保育施設に関しては、必要書類の提出を行うことで標準的な利用料の金額が無料になります。

    復職を考える方は

    保育園申し込み前、復職を検討し始めた時に、お勤めの会社の育児支援制度や窓口を夫婦共に確認しておきましょう。
    必要な手続き、書類の準備だけではなく、復職形態は、正規職員なのか、時短勤務を利用するのか、など検討が必要です。


    実際に見学に行ってみよう

    保育施設の見学は比較的安定した妊娠中期以降や1歳になるまでがおすすめです。
    見学の予約電話は、園児たちがお昼寝などの時間帯である10-11時頃や13−15時頃が落ち着いて話しやすいことが多いです。
    離乳食などで忙しい時期は避けて落ち着いて参加できる日程を考えてみましょう。

    施設を見るポイント

    • 自宅や職場からの通いやすさ
    • 立地・規模(園周辺の環境、園外保育の充実)
    • 保育士の数や手厚さ
    • 雰囲気(施設方針、保育士の子どもへの接し方)
    • 準備物は何が必要か?

    もしもに備えファミリー会議

    保育施設が利用できなかったら※1

    保育施設を利用できなかった理由としては、申込者数が多く、どこの保育施設も定員に達していたことが最も多く挙げられます。
    その場合「育休延長」で対応するケースが最も多いです。その他、一時預かりやベビーシッター、ファミリー・サポート・センターなどの利用、職場復帰を諦めて育児に専念する選択をする方も一定数います。

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    最後に育児・介護休業法の改正ポイントを紹介!

    2022年度から育児・介護休業法も改正されました。そのポイントを以下に紹介します。※8

    育児・介護休業法改正のポイント

    • 企業に対して、妊娠や出産を申し出た従業員に制度の周知や取得の働きかけを義務づけ
    • 大企業は、育児休業の取得率の公表が義務づけ
    • 男性に産後8週間を対象とした「出生時育休」が新設
    • 男女問わず、1歳までに育児休業を2回に分割して取得可能に

    要件を満たせば、1歳以降もさらに分割が可能になるので、併用すれば、男性は1歳までに計4回の育休取得が可能になります。慣らし保育や断乳などのケアに合わせたり、育休を夫婦で組み合わせて調整できるようになりました。取得期間の例も厚生労働省サイトなどを参考に見てみてくださいね。


    いかがだったでしょうか。お散歩も兼ねて保育施設の見学に行ってみると、保育士さんとのお話が気分転換になったり、実際に通う園児の日常が垣間見れたりするので、通園の様子がイメージしやすくなります。
    自治体の窓口で地域独自の最新情報を集めたり、近所の保護者と意見交換したりしながら、より良い環境で楽しく保活をスタートしていきたいですね。

    困った時はXより、「#ミッドワイフコール」でご相談ください。

    参考文献

    ※1 「保活」の実態に関する調査の結果,厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 保育課,平成28年7月28日公表,2022/03/10閲覧,
    https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/hokatsu-chousa_1.pdf

    ※2 子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK(平成28年4月改訂版),内閣府,2022/03/10閲覧,
    https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/event/publicity/naruhodo_book_2804.html

    ※3 認定こども園概要,内閣府,2022/03/10閲覧,
    https://www8.cao.go.jp/shoushi/kodomoen/gaiyou.html

    ※4 平成30年 地域児童福祉事業等調査の概況 用語の解説,厚生労働省,2022/03/10閲覧,
    https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000688570.pdf

    ※5 認可外保育施設の質の確保・向上について,内閣府,2022/03/10閲覧,
    https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/free_ed/kanji_1/pdf/s2.pdf

    ※6 企業主導型保育事業の制度の概要と企業のメリット,内閣府,2022/03/19閲覧,
    https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/ryouritsu/tachiage/1_01.html

    ※7 認証保育所について,東京都福祉保健局,2022/03/10閲覧,
    https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/hoiku/ninsyo/

    ※8 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内,厚生労働省,令和4年4月1日施行,2022/03/10閲覧,
    https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf

    ※9 幼児教育・保育の無償化,内閣府,2022/03/26閲覧,
    https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/index.html


    記事を執筆したのは…

    株式会社With Midwife
    代表取締役

    岸畑 聖月
    きしはた みづき

    PROFILE

    14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
    卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
    現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
    W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

    本記事のイラスト:Junphant

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