【助産師執筆】産後20週(産後5ヵ月)
気付いたら寝返りを始めた?
考えておきたいお部屋の安全
生まれてからすくすくと体が大きくなってきた赤ちゃん。
最近は、うつ伏せや寝返りなど体の動かし方にもバリエーションが出てきたのではないでしょうか。
今までは布団の上から動かなかった赤ちゃんですが、これから行動範囲がどんどん広がっていきますね!今日はそんな時期に気を付けたいお部屋の安全対策についてお伝えします。
- 5ヵ月の赤ちゃんは体がさらにしっかりする!
- 窒息、転落事故に注意しよう
- 赤ちゃんの手の届くところに危ないものを置かない
- お部屋の安全対策は先の成長も見越して行う
日々成長!生後5ヵ月の赤ちゃんの発達※1
筋肉が発達し、体を支えられるようになる5ヵ月の赤ちゃんは体がしっかりしてきます。
特に腹筋の発達が著しく、手を持って体を起こそうとすると、頭を自分で持ち上げて、手足をお腹に近づける事ができるようになります。
6ヵ月に近づくと、うつ伏せになったときにしっかりと手で体を支えられるようになります。
しかし、赤ちゃんの発達は順番通りに行くとは限りません。個人差もとても大きいので、できないことがあってもあまり心配しないでくださいね。
早い子では3ヵ月頃から始まった寝返りも、5ヵ月になるともっとスムーズにできるようになります。
ただ、得意な方向が決まっていたり、そこから仰向けに戻る”寝返り返り”ができずに怒ってしまう子もいます。
この時期特に気を付けたいのは窒息です。
いつ寝返りをしても良いように、赤ちゃんの周りには、柔らかいものは置かないようにしましょう。
寝返り返りや、不得意な寝返りは、ママやパパが「こうやってやるんだよ~」と手で誘導してあげると、コツを掴みやすいですよ。
うつぶせになって体勢を変えて周りを観察したり、物に興味が出てくるころです。
5ヵ月から6ヵ月にかけて、音のなる方に顔を向けるようになります。
手先の動きも発達する時期で、今まで指に引っ掛けるようにして物を掴んでいましたが、積み木なども掴めるようになります。
こんな事故に気を付けよう※2
生後5ヵ月はこんな事故が起こりやすいです。
●就寝時の窒息事故先ほども触れましたが、出生直後から注意されている方もいると思いますが、まだまだ気は緩められません。
うつぶせにもなりやすい時期のため、赤ちゃんのお顔が柔らかい寝具に埋もれてしまったり、かけ布団、ぬいぐるみ、スタイなどが被さったりすることで窒息も起こり得ます。
また、ベッドと壁の隙間などに挟まれたり、ママパパの体の一部で圧迫してしまわないように注意しましよう。
子どもの口は約4cmで一般的なトイレットペーパーの芯と同じくらいのサイズです。
ですので、トイレットペーパーの芯を通るサイズのものには注意しましょう。食事中に食べ物で窒息するケースもありますし、おもちゃなどの小さなものにも注意が必要です。
最近では水を吸って膨らむおもちゃの誤飲事故の報告も多くなっています。
飲み込んだものによっては、緊急性の高いものや吐かせてはいけないものがありますので、同じものがあれば病院に持参して受診しましょう。以下の表を参考にしてください。
誤飲の他にも、食べ物での窒息も後をたちません。
特に、ブドウやミニトマト、うずらのゆで卵などの球状の物は注意が必要です。4歳までは4分の1にカットして食べさせましょう。
豆類も、喉頭や気管に詰まると窒息しやすいため注意が必要です。小さく砕いた場合でも、気管に入りこんでしまうと肺炎や気管支炎になるリスクがあります。
場合によっては、手術で取り出す必要があります。まだまだ噛み砕く力が未熟な5歳未満には与えないようにしましょう。
また、テレビを見ながら食事をしていて、注意散漫になり喉に詰まらせるという事もあります。
お子さんが食事をしている時には、テレビを消したり、必ずそばで様子を見るようにしましょう。
汁物を置くときは、テーブルの真ん中に置くようにしましょう。
またテーブルクロスを利用していると、子どもが引っ張って汁物の容器を倒して火傷をしてしまいます。
電気ケトルやポット、炊飯器でのやけども多いです。
置く位置だけではなく、コードの位置も工夫し、子どもが引っ張らないようにしましょう。
また、湯たんぽや電気カーペットなどにより低温やけども起こりやすいので、長時間使用しないようにしましょう。
大人用ベッド、ソファ、ベビーベッドやおむつ替え台からの転落も多いです。
寝ている時でも寝返りをしますので注意しましょう。また、ベビーカーや椅子・テーブルからの転落事故もあります。
思わぬタイミングで子どもは立ち上がったりするので、安全ベルトなどを必ず利用しましょう。
お部屋の安全対策の工夫
普段過ごすお部屋基本的には、子どもの手の届く所に危ない物や飲み込んでしまいそうな物を置かないということが鉄則です。
腕や足の筋肉が発達することで、寝ている位置から移動することも多くなります。”手の届く所”がどんどん広がっていきますので、早め早めの対策をしていくことをおすすめします。
まだ立ち上がる時期ではないものの、電化製品のコードやブラインドの紐などは見落としがち。これらは高い位置にまとめておきましょう。
ずり這いやはいはいが始まると、腹部の圧迫で吐き戻しをしてしまう赤ちゃんもいます。
フローリングや拭きとりやすいマットの上なら、片付けの手間も省けるでしょう。
転んでも良いようにプレイマットを利用するご家庭も多いです※5。
また、水回りの事故を避けるためにも、お風呂場に行けないような工夫も今のうちに考えておきましょう。
赤ちゃんが寝る環境を今一度見直してみましょう。
お昼寝をする場所も、お顔周りには柔らかいものを置かないようにしましょう。バウンサーの上で寝かせる場合は、難しいかもしれませんが説明書に従ってベルトを使用しましょう。
転落や窒息を防ぐ事ができます。
寝かしつけの際には、ついつい大人用のベッドで添い寝をしてしまったり、柔らかい場所に寝かせたりしていませんか?大人用のベッドはなるべく2歳まで使用しないようにしましょう※2。
枕も0歳のうちは窒息予防のために使用を控えた方が良いです。
そのほかにも、タオルやぬいぐるみなどを赤ちゃんの頭もとに放置しない、掛けふとんの代わりにスリーパーを使うなど、すっきりとした睡眠環境で事故を防止しましょう※6。
いかがでしたか?目覚ましい成長とともに、お部屋の安全対策もアップデートしていく必要があります。
ベビーゲートやついたてなどは、リサイクルショップで購入できたり、家具の配置を工夫することで対策できるケースもあります。
せっかく準備をするなら、立ったり歩いたりする頃まで想定して早めに準備しておくと、いざという時に慌てなくて良いですね。
気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。
※1 中野綾美, ナーシング・グラフィカ小児看護学 小児の発達と看護 第4版, 株式会社メディカ出版, 2013, 86-87
※2 子どもを事故から守る!事故防止ハンドブック,消費者庁, 2022/6/19閲覧,
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_002/
※3 教えてドクター こどもの病気とおうちケア,佐久医師会,2018, 2022/9/22閲覧,
https://oshiete-dr.net/pdf/home_care2018_2.pdf
※4 食品による子どもの窒息・誤嚥(ごえん)事故に注意!―気管支炎や肺炎を起こすおそれも、硬い豆やナッツ類等は5歳以下の子どもには食べさせないで―, 消費者庁, 2022/8/13閲覧,
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_047/
※5 1836人に聞きました!お部屋の中の安全対策、どうした?,株式会社赤ちゃん本舗, 2022/6/19閲覧,
https://www.akachan.jp/clife/1909_02.html
※6 0歳児の就寝時の窒息死に御注意ください!, 消費者庁平成28年10月24日, 2022/3/20閲覧,
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/161024kouhyou_1.pdf
記事を執筆したのは…
株式会社With Midwife
代表取締役
岸畑 聖月
きしはた みづき
PROFILE14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。
本記事のイラスト:Junphant
ページの先頭