【助産師執筆】産後24週(産後6ヵ月)
お座りができるようになった
赤ちゃんとの暮らしを知ろう
これまでは寝てばかりだった赤ちゃんですが、うつ伏せから体を起こしたり、より動きの幅が出てくる頃です。抱っこをしていても、腰まわりがしっかりしてきたと感じる方も多いのではないでしょうか。今回は、お座りができるようになった赤ちゃんとの暮らしについてお伝えしたいと思います!
- お座りは座るときに両手を使わず、姿勢が崩れても自力で戻れる状態
- お座り時期は頭を打ってしまわないような安全対策が大事!
- お座りの練習以上に大切なのはハイハイをすること!
- 食事の時は、座面がしっかりして足が踏ん張れる姿勢がおすすめ
「お座りができる」はどんな状態?
“お座り”や“腰すわり”など色んな呼び方がありますが、手や補助具の支えなしに、赤ちゃんが自分で座った状態になってから、姿勢を自分で変えて、そこからまた座り直せるということを指します※1。
最初は手を前について、グラグラとしながら座っている状態ですが、徐々に体幹も鍛えられて腰がすっと伸びて座れるようになります。厚生労働省の調査によると、両手を床につかずにおおむね1分以上支えなしで座っていられるようになるのは、生後9~10ヵ月未満の乳児で90%以上だったそうです※2。
そろそろお座りをし始めたとしても、しっかりと座れるようになるにはもう少し時間がかかるので焦らなくても大丈夫です。
お座り時期の安全対策
赤ちゃんは、ねんねの時期からうつ伏せ、そしてお座りと、目線も高くなり普段とは違う景色を楽しむようになっていきます。ねんねよりお座りの方がご機嫌という子もいるでしょう。
赤ちゃんをお座りさせる時に気をつけたいのが、頭部を打ってしまうことです。赤ちゃんの頭は重くフラフラとしやすく、まだ自分でしっかりと支える事ができません。転んでも大丈夫なように、お座り用のクッションで支えたり、家具の角に頭を打たないような安全な場所や、マットなどを敷いた床の上でお座りをさせてあげましょう。
脳の発達に伴い、倒れそうになる向きと反対の方向に体を戻そうとする反射が出てくるのですが、そのうちの一つに「パラシュート反射」という反射があります。体が倒れそうになると、パッと手が出るのがパラシュート反射です。これは、8~9ヵ月ごろに出現し永続します※3。
この反射のおかげで転びそうになったら手でとっさに支えることができ、身を守る事ができるようになります。この反射が出てくるまでにはもうしばらく時間がかかりますので、赤ちゃんが自分でしっかりとお座りができるようになるまでは、目を離さないようにしましょう。
お座りの練習は必要?
さて、離乳食も始まり早く上手にお座りができるようになったら良いなと思うママやパパも多いかもしれません。練習を頑張ってしなくてはならない!と思っていらっしゃるでしょうか。確かに、少しずつお座りの姿勢に慣れていくことは必要です。しかし、日常生活で支えがありながらも腰を垂直にする場面は、離乳食を食べるときや縦だっこをする時などたくさんあります。長時間の練習は、かえって腰への負担になってしまうので、日常生活の中で練習していきましょう。
実はお座りをするために欠かせないステップは、ハイハイやうつ伏せの姿勢です。これらは全身の筋肉を発達させてくれますし、背筋もつきます。全身の筋肉がバランスよく発達してきて、初めてお座りをすることができますので、お座りに向けたトレーニングをしたい場合は、日常生活にハイハイを取り入れてみましょう。
発達の順序は様々!※4
その子によって、発達の順番は個人差があるので必ずしも寝返り→お座り→ハイハイ→立つ、と進むとは限りません。
中には、お座りの姿勢で移動する「シャフリングベビー」と呼ばれる赤ちゃんもいます。一般的に、歩行の“開始”が少し遅れるとされていますが、その後の発達に関してはほとんど心配する必要がないとされています。
シャフリングベビーは5月~9月に生まれた子どもに多いことも示されており、冬に厚着をすることによって運動に制限がかかるためではないかと考えられています。それだけ、床で活発に遊ぶことが発達にとても重要であることがわかりますね。
お座りができるようになった赤ちゃんとの生活
●お着替えテープのオムツからパンツタイプへの切り替え時や、ロンパースからセパレートのお洋服への替え時を迷っているママパパもいらっしゃるかと思います。寝返りが上手になったり、ハイハイで移動するようになったりして、お着替えが大変だと思ったら替え時です。お座りの状態でウンチをすると背中漏れをしてしまうこともしばしば。離乳食が始まると、ウンチが硬くなって漏れることも少なくなるかもしれませんが、テープタイプのオムツよりもパンツタイプのオムツの方がウエストにフィットするので、漏れにくいと言われています。一時的なことですが、お出かけの時はいつもより着替えを多めに準備しておくと良いですね。
●食事の時の姿勢離乳食を食べさせるときに、どのようなスタイルが良いのでしょうか。自力でお座りができるようになるまでは、ハイローラックなど頭まで支えてあげられるものでいいでしょう。
中には抱っこじゃないと食べない子もいるかもしれません。最初は少量ですし、抱っこであげても大丈夫です。赤ちゃんがリラックスできる姿勢で食べさせてあげてくださいね。
自分で座れるようになってからは、座面がしっかりと硬く、足が踏ん張れる椅子がおすすめです。座面が柔らかいと背筋を伸ばすことができません。また、足を踏ん張ることによって、しっかりと噛むことができます。踏み台を使用したり、足台がついている椅子を使用し、姿勢が安定するようにしてあげましょう※5。
お座りができると両手が使えるようになります。手遊び歌を一緒に歌ってみるのも良いですね。繰り返すことでママやパパの真似をしようとするでしょう。手や指先を使うことは、脳の発達にとても重要です。仕掛けがたくさんのおもちゃに興味を持つ子も多いです。
前半でもお伝えしましたが、お座りができるようになってからも、ハイハイなどの床遊びを取り入れることも大切です。少し先の所におもちゃを置いて「こっちにおいで~」とハイハイを促したり、大人がハイハイして見せるのも良いでしょう。意外と体力を消耗しますので、お外遊びが出来ない日にもおすすめです。
いかがでしたでしょうか。赤ちゃんが目まぐるしく成長する時期、悩むことも多いかもしれませんが、気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。
※1 河合優年, 武庫川女子大学教育研究所/ 子ども発達科学研究センター 2013年度活動報告, 武庫川女子大学教育研究所 研究レポート第44号,117 ※2 乳幼児身体発育調査:調査の結果(平成22年), 厚生労働省,2022/7/27閲覧, ※3 中野綾美, ナーシンググラフィカ小児看護学①小児の発達と看護, 株式会社メディカ出版, 2013, 84 ※4 楢崎修, 1歳6カ月児健診におけるshuffling babyの疫学的調査, 脳と発達, 1986(18), 484-489 ※5 中野綾美, ナーシンググラフィカ小児看護学①小児の発達と看護, 株式会社メディカ出版, 2013, 102
https://www.mukogawa-u.ac.jp/~kyoken/report_pdf/44th_05.pdf
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/73-22-01.pdf
記事を執筆したのは…
株式会社With Midwife
代表取締役
岸畑 聖月
きしはた みづき
PROFILE14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。
本記事のイラスト:Junphant
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