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【助産師執筆】産後29週(産後7ヵ月)
探検大好き!ハイハイする赤ちゃんとの暮らし方

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赤ちゃんのズリバイがみられる頃になると、そろそろハイハイかな?と楽しみになりますね。
実はハイハイは開始時期やその期間、姿勢や進み方などに大きな個人差があります。「四つ這いじゃない格好で進むから心配…」「ハイハイをしないまま、ズリバイから立とうとするけど平気かな…」など、お悩みもそれぞれです。
また赤ちゃんは、好奇心のまま行動範囲を広げていきます。この時期に後追いや人見知りも重なりやすいため、ママやパパはどういった関わりが良いか考えることでしょう。
今回は、そんな赤ちゃんとの暮らしのポイントをお話しします。

  • ハイハイは生後9〜10ヵ月頃 つかまり立ち、歩くための練習 
  • ハイハイは姿勢や、するかどうかも個人差がある
  • 自宅内での事故予防のためには環境整備が重要
  • 赤ちゃんのペースを見守ってあげよう


ハイハイについて改めて確認しよう

乳幼児の運動機能について、それが可能なものの割合を示した一般調査によると、ハイハイは生後9〜10ヵ月未満の赤ちゃんの90%以上が可能とされています。
ここでのハイハイとは、はって移動できるものを「できる」としています。※1
赤ちゃんにとって、はって移動する手段はそれぞれ足腰の発達や筋力の使い方によって特徴も違うのですが、はって動けるようになると、ハイハイからつかまり立ち、そしてひとりで歩けるように発達していき、進む練習になるのです。
下記の表を見ると、ハイハイの開始時期もそれぞれ異なることや、ハイハイをしている期間も幅があることがわかります。
いつだから良い、これが正解ということはなく、発達は赤ちゃん一人一人の個性といえますね。

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ハイハイの姿勢って色々ある?

実は、赤ちゃんのハイハイは、手のひらとひざを床について四つ這いの姿勢で移動するものだけとは限りません。
手のひらとおなかによって下半身を床につけて移動するズリバイや、手のひらと両足を床につけながら移動する高ばいもハイハイとされます。
他にも、ハイハイに関する調査報告※2によると、いざりばいや背ばいなど、赤ちゃんのハイハイの姿勢はこんなにも様々な形であるといわれています。
いざりばいをする赤ちゃんはシャフリングベビーとも呼ばれ、座ったまま移動するハイハイの1つです。うつ伏せにしても嫌がり、立たせようとしても股関節を曲げて床に足をつこうとしないことも特徴です。
これを見てハイハイしないと思われる方もいるかもしれませんが、いざりばいは立派なハイハイです。
また、ハイハイをほとんどせずにつかまり立ちに進む赤ちゃんもいますが、温かく見守ってあげましょう。
子どもの発達の順序性はある程度決まっていても、個人差も大きく多少のばらつきがあると言われています。※3
ですが、やはり心配な時もあるでしょう。その場合は、かかりつけ医の受診もしくは保健センターの電話窓口、または乳幼児健診の場での相談をおすすめします。
大切なお子さまの成長を専門家にみてもらうことで解決策を見つけられ、不安が軽減できますね。
続いて、ハイハイの時期の赤ちゃんを育てるママとパパへ知ってほしい大切な関わりをお話しします。

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自宅内の環境を整えよう

ハイハイする赤ちゃんにとって、お家の中は発見の連続です。
気づいたら台所、浴室などに移動していてドキっとすることもありますよね。
考えたくないことだと思いますが、この時期に起きやすい不慮の事故についてもお話しさせて下さい。
実は、0歳で圧倒的に多く発生するものが「窒息」による事故です。※4
落ちているもの、手に触れたものをなんでも口に入れることは赤ちゃんの本能です。
ビニール袋が床に落ちていたり、ボタン電池やタバコの吸い殻などが手の届く所にあったりする状況を避ける環境整備が必要です。
また、チャイルド・マウスという誤飲チェッカーをご存知でしょうか。
赤ちゃんが口を開けた最大口径は39㎜とされ、これより小さいものは誤飲の恐れがあります。身近なもので言えば、トイレットペーパーの芯や人差し指と親指で作った輪が同じくらいのサイズになります。ママとパパで協力しあって、この中を通ってしまうものが子どもの手が届く場所にないかチェックし、危ないものは片付ける習慣をつけましょう。
また、ものが喉につまった時の応急処置や対応について母子手帳に記載がありますので、事前に確認しておきましょう。※5
さらに、段差からの転倒やベッドからの転落、よだれ等で濡れた手でコンセントを触ることで起きる感電による熱傷や火災なども注意が必要です。※6


赤ちゃんのペースを見守ってあげよう

赤ちゃんによってハイハイに個人差があると説明しましたが、大人がハイハイをさせたいから何かする、といった介入は必要ありません。
我が子のハイハイを見守りながら、たくさん「上手だね」と褒めてあげましょう。
また、ハイハイができるようになると後追いする範囲も広がっていきます。
後追いは、産後34週のコラム『トイレに行くだけで泣かれちゃう…後追いについて知ろう』でもお伝えしますが、ママやパパとの間に愛着が形成された証拠です。
ですが、赤ちゃんの情緒が成長しているとわかっていても、トイレや家事などが必要な状況でその都度赤ちゃんに泣かれるととても辛いですよね。
そんな時は、「ママはすぐに戻って来るから大丈夫だよ」など、赤ちゃんの不安を取り除いてあげるような声かけや態度が良いでしょう。


後追い・人見知りもひとつの成長の証拠 

また、後追いだけではなく、産後19週のコラム『みんなが通るとわかっていても、気になってしまう!”人見知り”について知ろう』でも紹介したように、人見知りがある場合もありますよね。
これも、赤ちゃんの脳の発達により、思考力や記憶力がついてきた証拠です。個人差もあり、あまり人見知りをしない子もいれば、激しく人見知りをするような子もいてそれぞれです。
後追いも、人見知りも、ママが「自分だけが赤ちゃんをみなきゃ」と、プレッシャーに感じたり、なかなかリラックスして1人になれない悩みをストレスとして感じる場合もあると思います。
そうした場合は、1人で抱え込まずにパパをはじめ、第三者に相談してくださいね。
心の余裕を保つために、ママが1人になれる時間の確保はとても大切な視点です。
少々泣いても気にしない、パパや家族を信じて託そう!と、外出など物理的な距離をもつのも悪いことではありませんよ。
ママが赤ちゃんにとっての「安心・安全な基地」であるために、ママ自身が満たされていることが不可欠です。
パパは「今日はどんな1日だった?」「いつもありがとう」など、日中の様子をさりげなく聞いてみたり、日常会話からママへ感謝の気持ちを伝えましょう。
赤ちゃんに泣かれるとお手上げ状態になる気持ちもあるでしょうが、パパと過ごす時間が長くなればなるほど、赤ちゃんとの心の距離も縮まります。
ママとも、お互いに話し合えるとより一層関係性が深まります。

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今回はこの時期に悩みやすいハイハイについてお話しました。
赤ちゃんとの暮らしは、何より安全を守らねばと大変なこともあります。
その一方で、ハイハイをする可愛い姿は歩くまでの限られたものです。
赤ちゃんの姿を写真や動画に残しておいて、大きくなった頃に見せてあげたいですね。

他にも気になることがあれば、いつでもXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 II 調査結果の概要,厚生労働省,2022/06/25閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/73-22-01.pdf

※2 カルマール良子,乳児のはいはいに関する調査報告,発育発達研究 第 76 号,2017;76:1-7,
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hatsuhatsu/2017/76/2017_1/_pdf/-char/ja

※3 厚生労働省雇用均等・児童家庭局,子どもの心の診療医の専門研修テキスト,厚生労働省,2022/06/25閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/kokoro-shinryoui03.pdf

※4 消費者庁消費者安全課,⼦どもの不慮の事故の発⽣傾向〜厚⽣労働省「⼈⼝動態調査」より〜,令和2年度⼦供の事故防⽌に関する関係府省庁連絡会議,2022/06/25閲覧,
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/meeting_materials/assets/consumer_safety_cms205_210305_03.pdf

※5 子どもの事故防止教材「誤飲チェッカー」,一般社団法人日本家族計画協会,2022/06/25閲覧,
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20211018/

※6 消費庁,Vol.568 コンセントでの感電事故に注意!,消費庁,2022/06/25閲覧,
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20211018/


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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