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【助産師執筆】産後34週(産後8ヵ月)
トイレに行くだけで泣かれちゃう…
後追いについて知ろう

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赤ちゃんの成長が嬉しい一方で、後追いは大変なこともありますよね。時には、トイレに行くだけで泣かれて困ってしまう場面もあるのではないでしょうか。
何故、いつも私のことを追ってくるのかわからない。仕方ないとわかっていても、ついため息が出ちゃう…。
今日は、そんなお悩みが少しでも軽減できるように、後追いについて詳しくお伝えします。

  • 後追いは愛着行動ができている証 
  • 生後9〜10ヵ月頃に後追いが目立つ 
  • 開始時期が早い・しない・遅い・長引くなど個人差もあり
  • 声がけで不安を減らそう おんぶの活用もあり
  • 時には割り切りも必要!1人で抱え込まなくていい


どうして後追いするの?

赤ちゃんにとって、いつも側にいて安心できるママ、パパは特別な存在です。後追いは赤ちゃんとの間に愛着が形成された証拠です。
愛着という言葉は、産後31週のコラム『 ベビーマッサージで親子のコミュニケーションを楽しもう 』 でもお伝えしたように、保護者や特定の保育者と乳幼児の間にある相互的な絆のことだといわれています。
そして、イギリスの精神科医であるボウルビィによると、愛着の発達過程には4つの段階があるとされています。※1
こうしてみると、生後6ヵ月〜2、3歳頃までは第3段階にあたり、特定の人に愛着を持ち、常にその人と一緒にいたいという態度を示すことがわかります。(表1)
子どものこころの発達にとって、愛情や信頼で結ばれた関係を持つことは成長の中でとても大切なプロセスなのですね。

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後追いの開始時期〜タイプにも個人差がある?

愛着の発達過程の第3段階は生後6ヵ月〜2、3歳頃と、かなり月齢に幅があることからも、後追いの開始時期や期間には個人差があります。
そうはいっても、後追いのピークがいつ頃か気になる方もいるでしょう。
ハイハイができるようになると、行動範囲も広がり、赤ちゃんは自分が関心のある場所へ移動できるようになります。
産後29週のコラム『探検大好き!ハイハイする赤ちゃんとの暮らし方』でもお伝えしたように、だいたいの赤ちゃんが生後9~10ヵ月の頃にはハイハイができるようになっているので、この時期に後追いが目立つとされています。※2
また一方で、後追いをしないと悩む方もいます。
「私の愛情が足りていないのかな」「もしかしたら発達障害があるのかも…」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
結論から言うと、その点はあまり心配しないでほしいと思います。お子さまの発育・発達・性格は一人一人異なるからです。
赤ちゃんのこころの発達が急速に進む時期や、体調不良の時などに、終わっていたと思っていた後追いが再び復活したり、これまで全く後追いをしないと思っていても、何かの拍子に突然後追いが始まったりすることもあるでしょう。
そうした時も、そっと優しく見守ってあげましょう。
また、赤ちゃんを取り巻く環境も様々な違いがあると思います。
例えば、ワンオペ育児でママかパパがほぼ1人でお世話しているのか、他のご家族の中で過ごしているのか、すでに保育園など集団生活が始まっているのかなど、そうした背景によって後追いの状況は異なります。
つい、周囲の赤ちゃんと比較してしまう時もあると思いますが、「その子それぞれ個人差があるんだな」と気持ちを楽にすることも大切です。
ですが、もしも後追い以外でも、赤ちゃんの発達に関する心配事がある場合には、迷わずかかりつけ医へ相談して下さいね。

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後追いの対処法のポイント

そうはいっても、後追いで大変な状況はなんとかしたいですよね。ぜひ、こちらのポイントからできそうな対処法を試してみてください。

1.声かけを丁寧に繰り返そう

赤ちゃんが不安にならないように、離れる際にはこまめに声かけをしましょう。
できるだけ「お洗濯物取りに行ってくるから待っててね」「すぐに戻るから安心してね」などと、赤ちゃんの側を離れなくてはいけない理由や、ちゃんと側に戻ってくることも伝えてあげると良いですね。
言葉自体の意味は分からなくても、声かけがあれば「またすぐに戻ってくる」と赤ちゃんも少しずつ理解できるようになってきますので、根気よく丁寧に、繰り返し同じメッセージを伝え続けることも大切です。

2.おんぶ・抱っこ紐を活用しよう

「とにかく離れると泣かれてしまい、自分も辛い」そうした声は少なくありません。
そうであれば、いっそのことおんぶや抱っこ紐でスキンシップをとりながら過ごすのも良いでしょう。
赤ちゃんにとって、ママやパパの背中や胸の高さからの視界は大人が思う以上に世界が広く感じられ、好奇心が増すと同時に、頭が上になる姿勢をとることで身体の重心やバランスをとる練習にもなります。
また、こうしたおんぶ・抱っこ紐を使用する際は、長時間使用してしまうと肩こりや腰痛を招く原因になります。
さらに、ベルトや紐の当たりやすい赤ちゃんのお尻や太ももに負荷がかかりやすいこともありますので、しっかり休憩時間もつくりましょう。

3.自分を責めないで。辛い気持ちを1人で抱えずSOSを出そう

どんなに声かけしても、おんぶ・抱っこ紐で対応しても、うまくいかないこともあるでしょう。
相手はまだ言葉でのコミュニケーションが難しい赤ちゃんです。
大人と話したい、または1人になりたいと思うこともあるでしょう。
ご家族や友人とTV電話で話してみることや、「こんな感じだよ〜」と動画を撮影してパートナーと共有してみると、その大変さを理解してもらえるのではないでしょうか。
目が離せない時期の後追いでは、自宅にずっといると息が詰まりますよね。ベビーカーや車でお散歩やお出かけに行くなど、場所をかえてリセットすることも良いでしょう。
子育て支援センターや図書館のお話会などに行ってみることも1つの方法ですね。
また、後追いで悩んでいる気持ちを保健センターへ電話相談し、話を聞いてもらうこともおすすめです。
もし双子や三つ子育児であれば、お出かけも一筋縄にはいかない場合もあるでしょう。
そうした場合には、訪問型の子育て支援が受けられることもありますので、お住まいの保健センターへ確認してみましょう。※3

4.リフレッシュで心のケアをしよう

我慢の限界…!となる前に、ぜひ身近なパートナーやご家族へ相談しましょう。
1人でカフェに行ったり、ゆっくりお買い物ができる時間をつくるなど、気分転換する方法を家族で一緒に考えてみるのはいかがでしょうか。
時には、家族に任せてみたり、一時預かりやベビーシッターの利用も良いですね。
心に余裕を取り戻せると、きっと同じようにトイレに行くだけで後追いされたとしても、気持ちの持ちようが違うはずです。

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いかがでしたか?後追いは赤ちゃんの成長の証でもあり、この時期を家族全体で乗り越えていけたら良いですよね。心から皆様を応援しています。

他にも気になることがあれば、いつでもXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 親子の絆はいつからはじまる?―愛着の発達―,大阪ユニットセンターエコチル調査,2022/06/27閲覧,
https://www.ecochil-osaka.jp/growth/page-1418/

※2 調査結果の概要,厚生労働省,2022/06/25閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/73-22-01.pdf

※3 地域の力で子育ての孤立を解消する家庭訪問型子育て支援・ホームスタート,厚生労働省,2022/07/28閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000793816.pdf


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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