【助産師監修】産後38週(産後9ヵ月)
9〜10ヵ月乳幼児健診を安心して受けるための準備をしよう※1
日本では赤ちゃんの成長・発育が問題なく経過しているか確認するために乳幼児健診がおこなわれています。
今回は9〜10ヵ月の乳幼児健診の項目や受け方、再検査になった場合にどうしたら良いかなど、具体的に説明をしていきます。
- 9〜10ヵ月の赤ちゃんは、体格や運動など個人差がでやすい
- 乳児健診は不安なことを専門家に相談するチャンス
- 健診時期や費用は自治体に確認
- 再検査になっても過度に心配しすぎないようにしよう!
生後9〜10ヵ月で受ける乳幼児健診とは
乳幼児健診は、正式には「乳幼児健康診査」といいます。
赤ちゃんが健やかに育っているか確認し、必要であれば早期治療に繋げることを目的としています。※2
就学前の子どもに対する健診で法的に義務化されているのは、1歳6ヵ月児健診、3歳児健診のみとなります。
1歳までの乳児が対象の健診は自治体の任意で行われ、9割以上の市区町村では3〜4ヵ月児健診が実施され、7割以上の市区町村では9〜10ヵ月健診が実施されています
。地域によっては6〜7ヵ月健診を実施している自治体もあります。※2
今回お話しする生後9〜10ヵ月の赤ちゃんは、離乳食が始まり食事量にムラがあったり、体格や運動、発達も個人差が大きいです。
そのため他の子と比較してしまい、不安を抱くお母さんも多いと思います。
乳幼児健診では、医師や保健師、助産師、栄養士、歯科衛生士など多岐に渡る専門家が多く関わります。
ママやパパはぜひこの機会に、日頃の悩みや疑問を相談してみてくださいね。
検査内容と各ポイントについて
乳幼児健診は、月齢や年齢に応じて検査項目が異なるので、毎回忘れずに受けるようにしましょう。
健診前にご自宅宛に市区町村から問診票が届きます。
あらかじめママやパパが記載する箇所がありますので、そちらの欄を埋めてから参加するようにしてください。
乳幼児健診の実施会場は、大きく分けて2パターンあります。
市区町村の施設で実施する場合と、小児科の医師がいる医療機関で実施する場合とがあります。どちらも赤ちゃんの発育や栄養状況などの健康状態や、病気がないか、月齢の発達に応じて診察を行います。
地域によって開催場所が異なりますので、分からないことがあれば、お住まいの地域に確認するようにしましょう。
9〜10ヵ月健診の検査内容は大きく分けて3つあります。
9〜10ヵ月健診の検査内容
粗大運動
(全身を使って大きく動く運動)
- つかまり立ちを5 秒以上できる
- 一人ですわる
微細運動
(手や指を使って小さく動く運動)
- 積み木を持ち替える
- 親指を使ってつかむ
言語
- パ、ダ、マなどの喃語を話す※3
この他に身体測定も行います。
測定がすぐにできるように、会場ではおむつの状態で待つことが多いです。
そのため脱ぎ着しやすいお洋服で参加することをおすすめします。
成長曲線に医師が印をつけてくれることも多いので、母子手帳で成長の変化を確認してみてくださいね。
他には、歯の発達や、音への反応、斜視の有無などをみます。
運動発達では、ハイハイやお座りの程度を観察します。
ハイハイにも種類がありますので、どの段階にいるのか確認をします。
また、つかまり立ちや一人で立ち上がれるのかも観察します。
運動発達はいずれも個人差があり、ハイハイは発達の段階でしない子もいます。
またつかまり立ちもまだ出来ないこともあるので、過度に不安にならなくても大丈夫です。
その他に「パラシュート反射」のチェックもします。
これは、体が倒れそうになった時に手を伸ばして体を支えようとする一種の防御反応で、順調に発達しているという目安になります。
そのほかにも『握る』『つまむ』といった指先の発達も観察していきます。
おもちゃを掴んでいる手を持ち替えるのかなど、細かな観察項目もあります。
市区町村によっては、歯科検診を行う場所もあります。
歯の生え方やトラブルがないか、またママたちの離乳食相談等を受け付けているところもあるので、不安なことはぜひ相談してみてくださいね。※4
健診での費用は?
9〜10ヵ月健診の費用は市区町村により異なりますが、無料で受けられるところが多いです。
事前に自宅に案内が届きますので、そちらを確認するようにしましょう。
また、無料といっても受診できる期日が決まっており、期日を過ぎると自費となることもあるので注意が必要です。
健診の持ち物を確認しよう!
9〜10ヵ月健診に必要な持ち物は必ず必要なものと、あったら良いものとがあります。一覧にしましたので参考になさってください。
必ず必要なもの
- 母子健康手帳
- 問診票
- 診察券(小児科などの医療機関で行う場合)
あると便利なもの
- おむつ
- 着替え(脱ぎ着しやすい服)
- ミルクやおやつ
- 赤ちゃんの遊び道具
持ち物は市区町村から届くご案内の中に書かれていることもありますが、記載されている内容以外にも準備しておいた方が良いものもあります。
赤ちゃんによっては飽きてグズってしまう子もいるでしょう。
おやつや赤ちゃんの好きなオモチャを持参するのがおすすめです。
当日は同じ月齢の子たちが多く参加しています。
持ち物が似ていたり、他の方の持ち物に紛れる可能性もあるので目印や名前を記載するようにしましょう。
健診で再検査になってしまったら?
大切な我が子が再検査となってしまったら、不安になるのは当然だと思います。
念の為に再度確認をするケースも多く、その場合は市区町村にもよりますが、別日に2次検査を受けます。
また「様子をみましょう」「次回の健診でも確認させてください」などとフォローするケースもあります。
再検査を受けることになったからといって、必ずしも赤ちゃんに問題があるとは限りません。
ママは専門家からの一言で大変不安に感じることもあるかもしれませんが、お子様は日々成長しています。
「ない」部分に目を向けると不足ばかり気になりますが、お子様の今できている部分に気づいて認めていくと、こうした不安な気持ちも少し楽になるかもしれません。
また、成長曲線などはあくまで平均値ですので、平均から抜けてしまう場合もあります。
それが個性によるものなのか、医療介入が必要なものなのか、経過を観察しながら見極める必要があります。
過度に不安になりすぎず遊びを通して発達を促したり、上手にサポートできると良いですね。
また市町村窓口によっては、子育て支援や福祉サービス等に関する相談も受け付けていますので、気になる方は調べてみても良いかもしれません。
乳幼児健診は必ず受けましょう
乳幼児健診は赤ちゃんの成長・発達を観察することだけが目的ではありません。
ママやパパに不安があれば健診を通して専門家に聞くことができますし、地域の情報を知る機会やママ友作りの場になります。
赤ちゃんの健康状態を知るきっかけになるのはもちろんですが、赤ちゃんに関する不安を1人で抱え込まないためにも必ず受けるようにしましょう。
また、気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。
※1 母子保健法と発達障害者支援法にみる乳幼児健康診査の役割,厚生労働省,2022/6/25閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken15/dl/03.pdf
※2 乳幼児健康診査事業実践ガイド, 国⽴研究開発法⼈ 国⽴成育医療研究センター,2018, 2022/6/25閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000520614.pdf
※3 乳幼児健康診査身体診察マニュアル,国立研究開発法人 国立成育医療研究センター,2018, 2022/6/25閲覧,
https://www.ncchd.go.jp/center/activity/kokoro_jigyo/manual.pdf
※4 【9~10か月児健診】 診察チェックシート(2018年版),東京都医師会 乳幼児保健委員会,2022/6/25閲覧,
https://www.tokyo.med.or.jp/wp-content/uploads/application/pdf/03_910kagetsu.pdf
記事を執筆したのは…
株式会社With Midwife
代表取締役
岸畑 聖月
きしはた みづき
PROFILE14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。
本記事のイラスト:Junphant
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