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【助産師執筆】産後40週(産後10ヵ月)
赤ちゃんに起こりやすい事故や怪我を
防ぐために今日からできること

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10ヵ月頃の赤ちゃんは、ハイハイやつかまり立ち、成長の早い子では立っちへのカウントダウンが始まっている子もいるでしょう。
動くのが楽しく、好奇心旺盛な赤ちゃんは大人の予想を超える行動をします。
そして活動範囲が広がるこの時期は、事故や怪我が多いのも事実です。
今回は、赤ちゃんに起こりやすい怪我・事故を知り、また対策がとれるようにお伝えしていきます。

  • 赤ちゃんの事故は昼間のリビングが多い
  • 1歳前後に起きやすい事故とその対策が分かる
  • 転落事故はベランダだけでなく窓も危ない
  • チャイルドシート・抱っこ紐、移動時にも気をつけて!


1歳頃は特に怪我や事故にあいやすい!?

1歳までの赤ちゃんが不慮の事故や突然死により亡くなるケースは昔に比べて減少していますが、乳児死亡の原因の中では依然不慮の事故が上位にあります。
事故死に繋がらなくても、成長に応じて怪我をすることも増えていきます。
厚生労働省の「人口動態統計」によると年齢別の死因では14歳以下の四つの年齢層のいずれでも「不慮の事故」が4位以内に入り、特に発達段階の途中にいる赤ちゃんは、身体機能が未熟であるため事故に遭うと大人よりも危険な状態を招くことが多いです。
赤ちゃん自身では防ぐことが出来ないので、ママやパパたちが知識をアップデートし、予防策を知ることが大切になってきます。 ※1


どのような怪我や事故が起こりやすいのか

赤ちゃんが事故にあいやすいのは、

  • 昼間の時間帯(11時〜16時)
  • リビングなどの家庭内
となっています。赤ちゃんの活発な時間帯、そして自宅での事故が多くなっています。
怪我や事故として一番多いのは転倒・転落ですが、死亡の原因は窒息が多いです。
普段の生活環境で大人が近くにいたとしても、赤ちゃんの予期しない突然の行動で事故が起きる場合が多いようです。※2

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リビングでの事故

東京消防庁のデータによると、リビングで事故が最も起こりやすいです。
生後 6〜11ヵ月になると寝返り、お座り、ハイハイ、つかまり立ちが徐々にできるようになります。
他にも、指で物を上手に掴めるようになり何でも口に持っていきます。
また「この柵はまだ乗り越えられないだろう」と思っても、この頃の赤ちゃんは成長発達が早く、昨日までできなかったことが急にできるようになります。
大人の予期しないところで怪我・事故は起きるので対応も遅れやすくなります。
ここでは事故発生場所として最も多いリビングで起こる事故の種類と対策を確認しましょう。

リビングでの事故の種類と対策

●転落・転倒・はさむ
扉に指などを挟む、階段、段差、玄関、ベッド、イスから転倒、転落する事故です。
バランス感覚がまだ未熟な赤ちゃんは、少しの段差でも転倒します。
おもちゃに躓くことや、つかまり立ちをした家具と一緒に転倒することもあるようです。

<予防策>

  • 階段や段差のある所には柵などを設置
  • ジョイントマットなどを設置し硬い床に直接頭を打たないように工夫する

●誤飲・中毒・窒息
たばこ、医薬品、化粧品、洗剤、コイン、電池、おもちゃの部品などを誤って飲んでしまう事故です。
他にも、お菓子や豆、フルーツなどの食品がのどに詰まる事故もあります。
お昼寝の際の窒息にも注意が必要です。

<予防策>

  • 小さな子供の口の大きさは直径約4cm。これより小さいものは口に入り誤飲を招く可能性があるので、赤ちゃんの手の届かない場所に片付けるよう習慣付ける
  • 6〜20mmの大きさは、子供が口に入れるとのどに詰まらせやすい。ブドウやプチトマトなどの球状のものはそのままあげずに4等分に切るよう習慣付ける
  • 扉にドアロックを付けて危険なものは収納する、赤ちゃんが開けることができない環境を作る ※3

●やけど
炊飯器や加湿器の蒸気に触る、アイロン、ストーブに触る、ポットや鍋をひっくり返すなどで負ってしまうこともあります。
テーブルクロスをひっぱり、スープやコーヒーなどをかぶってやけどを負ってしまうこともあり注意が必要です。
電気毛布や床暖房で低温やけどをすることもあるので、お昼寝の際の環境も見直していきましょう。

<予防策>

  • 熱源は床に置かず、全て赤ちゃんの手の届かない所へ片付ける
  • 食べ物・飲み物をテーブルの端に置かないようにする
  • キッチンの入口に柵を設置する

家の外での事故

1歳前になると行動範囲が広がり屋外での怪我や事故も増えてきます。
また、1歳から4歳では交通事故などの割合も増えてきますので、今から事故の種類と対策を確認していきましょう。

家の外での事故の種類と対策

●駐車場での危険
よちよち歩きをするようになると、駐車場での事故の報告も増えてきます。
小さな赤ちゃんは運転席からは見えにくく、親を追って車に近づいて車と接触、または衝突する事故も起きています。
他には、車内の熱中症にも注意が必要です。赤ちゃんは大人よりもすぐに脱水を引き起こしやすく、数分の買い物だからと油断はせずに子どもだけを車内に残すのは絶対にやめましょう。
また、赤ちゃんをチャイルドシートに乗せた後、車の鍵を赤ちゃんに持たせて荷物の積み込みなどをした際に、誤って車の鍵を閉められてしまう事故も増えています。
車の鍵は常にママやパパが身につけておくように注意しましょう。

<予防策>

  • 駐車場では抱っこで移動する
  • 一緒にいる大人達はこまめに声をかける
  • 車内は子どもだけにしない
  • 子どもに車の鍵を持たせない
●建物からの転落

10年前と比較して減少傾向にありますが、建物からの転落事故にも気を付ける必要があります。
マンションのベランダや出窓から転落の危険性もあります。
実際、過去に1歳の子がマンションの出窓から転落して亡くなったという悲しい事故も起きています。この事故ではベッドから出窓までの高さが40cmほどしかなく、子どもがよじ登って転落したようです。
大人が近くにいてもお昼寝をしていたり、家事をしたりしていることもあります。
1歳ごろの赤ちゃんの転落事故はベランダよりも窓からの転落が多く、いつも生活をしている場所でも事故は起こります。 ※4

<予防策>

  • ベランダにステップとなるようなものは置かない(エアコンの室外機の設置場所を見直す場合は、手すりから60cm以上離すか、上からつるす)
  • 窓に補助鍵が取り付けられている場合は活用する
  • 転落防止ネットを活用する
  • ベビーゲートをベランダの入口に設置する
  • 家具のレイアウトを工夫する

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●チャイルドシートからの転落

車のチャイルドシートや自転車のチャイルドシート、ベビーカーから転落する事故も注意が必要です。
ロックをすると嫌がって泣いてしまうので、短時間だから大丈夫と思いロックをかけなかった。締め付けが嫌いだからベルトを緩ませていた。
などの理由から転落に繋がっているようです。
赤ちゃんは嫌がるかもしれませんが、怪我をしたら本末転倒です。安全のためにベルトの調節やロックができているか、しっかり確認してから移動するようにしましょう。
また、赤ちゃんが抱っこ紐から転落する事故も起きています。足元に落ちたものを拾うなどする時は必ず子どもを手で支えながらひざを曲げてしゃがむようにし、おんぶや抱っこをする時や降ろす時は、低い姿勢で行いましょう。
また、赤ちゃんが大きくなり装着方法が不安な方は、ぜひ店頭のスタッフにご相談くださいね。

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赤ちゃんがのびのび過ごせるように

今回は、赤ちゃんに起きやすい怪我や事故についてまとめました。
1歳前後の成長は早く、ママやパパができないだろうと思っていることでも、急にできることも増えます。
普段生活している家庭内、また駐車場やお散歩コースなどでも事故は起こりえますが、あれもこれも禁止するのは、赤ちゃんの意欲を阻害したり好奇心を欠く行動にも繋がります。
赤ちゃんがのびのびと生活できるように、大人達が環境を作って見守っていく視点も大切になりますね。

また、気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況,厚生労働省,2020,
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/dl/gaikyouR2.pdf

※2 乳幼児の事故防止とは,東京都福祉保健局,2022/9/7閲覧,
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/nyuyoji/jiko_kyouiku.files/handbook1-2.pdf

※3 「えっ?そんな小さいもので?」子供の窒息事故を防ぐ!,政府広報オンライン,2022,2022/9/7閲覧,
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201809/2.html#:~:text=%E5%AD%90%E4%BE%9B%E3%81%AE%E5%8F%A3%E3%81%AE%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%81%95%E3%81%AF3%E6%AD%B3%E5%85%90%E3%81%A7,%E3%82%92%E5%88%A9%E7%94%A8%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%A8%E4%BE%BF%E5%88%A9%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

※4 ご注意ください!窓やベランダからの子どもの転落事故,政府広報オンライン,2021,2022/9/7閲覧,
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202107/3.html


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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