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【助産師執筆】産後41週(産後10ヵ月)
赤ちゃんからの性教育
男の子・女の子のプライベートゾーンについて

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日本では、子供が性犯罪に巻き込まれる件数が年々増加傾向にあります。※1
この背景には、性に関する知識が乏しかったり、間違った情報を信じていたり、相談できる大人が近くにいなかったり、またSNSの普及などが原因としてあります。
性犯罪と聞くと女の子が巻き込まれるイメージが強いかもしれませんが、男の子の被害もあります。性別に関係なく注意が必要です。
自分の子どもを性犯罪から守りたい、正しい知識を伝えたいと思っても、「いつから性教育を始めたらいいの?」「どのように伝えたらいいの?」と、悩むママ・パパも多いのではないでしょうか。
性教育とは、自分の命を守るためにも必要な知識であり、生きるために必要なことです。今日は赤ちゃんの時からママ・パパたちができる性教育についてお伝えします。

  • 性教育とは自分と周りを大切にすること
  • オムツ替えのときも声かけを行おう
  • デリケートゾーンは「お湯で優しく洗う」のが基本


お家でできる性教育

ある企業のアンケートでは、「ママ・パパのおよそ8割が性教育に自信があるとは言えない」と回答しています。
性教育と聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか?避妊や性感染症などについて学校で教わったという方が多いかもしれませんね。ですが、性教育とは、そこだけにフォーカスするものではありません。
ユネスコの『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』によると、性教育とは、性行為(生物学的性)以外にジェンダー、人権、アイデンティティ、自分を大切にすること、相手を大切にすることなど、様々な側面から性について考えることとしています。
つまり、『包括的な性教育』という観点が大切になってくるのです。※2
赤ちゃんの頃から自分とは大切にされるべき人間なんだ、周りも大切にすることが当たり前なんだとわかるような関わりが必要であり、それは普段のママやパパとの関わりから生まれるものです。
性教育は生活の中にあるものと考え、ママやパパから自然な形で伝えられると良いですね。

赤ちゃんへの性教育は声かけやスキンシップから

性教育と聞くと難しいと思う方も多いと思いますが、日常生活のなかでちょっとした視点を持つことがポイントとなります。そして、繰り返し伝えていくことが大切です。

プライベートゾーンを知ろう

プライベートゾーンとは、男女の体のうち、性に関わる大切な場所のことをさし、体の水着で隠れる部分と、口のことを指します。
子どもを不審者や性犯罪者から守るためにも子どもたちに自分の体は自分のものであり、他人に許可なく触らせてはいけないことを伝えましょう。
また、知人が性犯罪者となることも多いです。家族であっても許可なく触らせてはいけません。赤ちゃんのおむつ換えや体を洗う際は声かけをして、ことわりを入れる習慣をつけましょう。普段から赤ちゃんに伝えることで、成長しても自然にプライベートゾーンについて受け止めることができるようになります。
例えば、赤ちゃんのおむつ替えの際に「大事なところを綺麗にしようね」と伝えたり、体を洗う時も勝手に陰部を洗うのではなく、「大事なところだから綺麗にさせてね」と一言伝えることは、赤ちゃんを1人の人間として尊重することにも繋がります。

一方で、「あなたの体や心は全て大切にするもの。プライベートゾーンと区切らずに、いやと思った時には伝えていいんだよ」という考え方も伝えましょう。
おむつ替えなどのシチュエーションに限らず、「ぎゅっと(抱っこ)していい?」「お手て繋いでいい?」と無理のない範囲で声をかけることもいいですね。そうすることで自分は愛される人間なのだと潜在的にも理解することでしょう。

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デリケートゾーンの洗い方について

デリケートゾーンは男の子と女の子で構造が違います。洗い方が合っているのか分からない、トラブルが発生した時の対処法を知りたい、などの声をよく耳にします。
男の子、女の子に限らず、おむつがとれるまでの時期は、蒸れやすくトラブルが起こりやすいです。また、うんちの洗い残しが肛門周囲や性器に付着するとおむつかぶれや細菌感染の原因にもなります。
デリケートゾーンの基本は「お湯でよく流す」こと。性器は粘膜になるので、石鹸でゴシゴシ洗うとかえって刺激になりトラブルが悪化する可能性があります。お湯で優しく洗い流してあげましょう。夏場の汗が出やすい時期は臀部浴(お尻をシャワーで洗い流す)を1・2回プラスしてあげると良いです。
また赤ちゃんの体調が悪い時も臀部浴だけにすると体の負担が少なくすみます。

男の子の洗い方

小さい子どものペニスは、包皮が陰茎の先にくっついている(包茎)のが当たり前となります。日本小児外科学会によると、新生児ではほぼ100%、1歳までの乳児では約80%、1歳から5歳の幼児では約60%、小学生では約30%でみられ、思春期以降ではさらに少なくなると言われています。※3
包茎については赤ちゃんの多くがそうなので、あまり気にしなくて大丈夫です。ただ、陰茎の先と包皮の隙間は白いカスのような汚れが溜まりやすく、場合によっては「亀頭包皮炎」を起こすことがあります。
毎日神経質に洗う必要はありませんが、清潔に保つことが大切です。無理に包皮を剥こうとすると出血したり、陰茎の先が圧迫を起こす可能性があるので、優しく、しわや皮膚を伸ばしながら洗うように心がけましょう。また陰嚢の裏や、しわにはうんちが付着しやすく、細菌感染を起こしたり赤みなどの皮膚トラブルに繋がります。洗い残しがないように丁寧に観察していきましょう。
上記でもお伝えした通り、デリケートゾーンを洗う際は、赤ちゃんに声かけをするのも大切なポイントです。

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女の子の洗い方

女の子の場合は男の子と違って性器が奥にあり、粘膜に包まれています。洗う時は性器の割れ目の間を軽く広げて、石鹸は使わずにやさしくシャワーやぬるま湯で流します。
大陰唇と小陰唇の隙間に恥垢(白いカスのようなもの)が溜まりやすいので、見つけたら指の腹で優しく撫でて洗うようにしましょう。またおむつかぶれや性器のかぶれがある場合には、ぬるま湯で洗い、擦らないで押さえ拭きをして摩擦を与えないようにしましょう。

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赤ちゃんからはじめる性教育のまとめ

お子さまが性について悩んだ時にママやパパに相談できる信頼関係を構築するためにも、赤ちゃんのときからの性教育は大切なものです。
初めは「頑張って伝える必要があるのかな?」と不安に思うかもしれませんが、決して特別なことは必要ありません。普段のおむつ替えやお風呂の時間、ママとパパとのコミュニケーションなど、取り入れやすいことも多いです。またお家で性教育をするメリットもあります。

お家で性教育をするメリット

  • 日常のなかで繰り返し伝えることができる
  • 失敗しても大丈夫。やり直しができる
  • 子どもの反応をみて進めることができる
  • 性の会話ができる信頼の基礎を構築できる

お子さまからの質問が分からないときは、無理して答えようとするのではなく、まずはその気持ちを受け止めることが大切です。
一緒に考える姿勢が信頼関係を築き、困ったときに相談しやすい関係づくりにつながります。
赤ちゃんの月齢に合わせて性に関する絵本を読み聞かせたり、性教育を教えてくれる助産院や協会もありますので、ママとパパが全部抱えて頑張ろうとせず、周囲も頼りながら楽しく我が子に伝えられると良いですね。

気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。

参考文献

※1 令和3年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況, 警察庁生活安全局少年課,2022/9/7閲覧,
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/syonen/pdf-r3-syonenhikoujyokyo.pdf

※2  宮原 由紀,家庭での性教育の現状と行政とのタッチポイントを活用した情報提供の可能性,厚生労働省,2022/9/7閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000784386.pdf

※3 小児外科で治療する病気包茎,一般社団法人小児外科学会,2022/9/7閲覧
http://www.jsps.or.jp/archives/sick_type/houkei


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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