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【助産師執筆】産後46週(産後11ヵ月)
育休もそろそろ終わり!
育児と仕事の両立のための家族会議をしよう

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こんにちは。気がつけばあっという間に産後1年が経ちますね。もうすぐ復職という方もいらっしゃるのではないでしょうか。育休明けは、仕事のブランクや配属先の変更がある方は、新しいことを覚えたりと、環境に慣れるまで不安なことも多いですよね。
他にも、家事育児との両立や子どもが保育施設に馴染めるのか、急な子どもの体調不良をどうしようかなど、家庭面でもさまざまな心配事があるものです。そんな中、職場復帰について先輩ママの経験談を聞ける機会も少なく、復職準備に戸惑っている方もいるかもしれません。
今回は、助産師の視点から育児と仕事の両立に向けた家族会議の方法についてお伝えします。

  • 名もなき家事も棚卸ししよう!
  • アウトソーシングを活用して生活満足度を上げる
  • 通勤経路を散歩してリアルにイメージ
  • 慣らし保育を使って自分時間を作る


家族会議で何を話す?

イマドキの子育て家庭事情※1,2,3

共働き世帯数は年々増加していますが、実はその大部分は「妻がパート」の共働き世帯数の増加です。日本では「仕事のある日」でもママはパパの2倍以上の育児時間を担っているというデータが出ています。特に小学生になる前の子どもがいる家庭では、男女どちらも、家事・育児・仕事等時間の合計が最長であることもわかっています。

育休が明ける前に!「名もなき家事」の棚卸し※4

掃除やゴミ出し、洗濯などの名前のある家事ではなく、「排水溝のネット替え」や「洗剤の詰め替え」、「トイレットペーパーの残量のチェック」などの具体的な名前がないこまごました家事のことを「名もなき家事」といいます。他にも食材の把握、食事の献立を考える、ごみを分類しまとめる、家族の予定を調整するなど、お子さまがいない夫婦であっても、少なくとも150個の家事があると言われています。
名もなき家事の役割分担の実態を調査すると、「妻」・「どちらかというと妻」という回答が多くを占めます。みなさんのご家庭でも、すでに分担できているものもあれば、これから相談が必要なものもあるかと思います。現時点でママとパパお互いがどのような家事をしているのか、そして何を相手にして欲しいと望んでいるのか、棚卸しをしてみてください。

では、ここで一つ例に挙げて一緒にみていきたいと思います。皆さんは、お子さまの「保育園の準備をして」と言われたら、何を思い浮かべ、何から始めますか?

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「保育園の準備」タスク一覧(例)

【前日の夜】

  • その日に使用したタオル、着替えた洋服などを洗濯する
  • 新しいタオル、洋服、オムツ、おしり拭きなどを用意する
  • 連絡ノートでその他に追加で必要なものを確認する
  • 持ち物にすべて名前を書く
  • オムツ、お尻拭きの在庫を把握し、在庫が切れないようにする
  • 連絡帳にお返事を書く

【当日の朝】

  • 当日の朝に忘れ物がないか持ち物の確認をする
  • 子どもの体温を測り、連絡帳に記入する
  • 朝食や排便、子どもの体調・機嫌など、朝の様子を連絡帳に記入する
  • 登園できるようお着替えをする、靴を履かせる

ひとつひとつあげていくと本当に多くの工程がありますね。家事分担を話し合うときはできるだけ、ひとつひとつの家事を細分化し、互いのバランスが崩れないように調整しましょう。

もっとアウトソーシングを使いこなそう※3,5

育児を外部サービスを利用しながら行いたいと考える方は3割以上いるにも関わらず、実際にベビーシッター、ファミリーサポートセンターなどを利用している割合は極わずかです。
しかし、男女とも育児時間が特に長い層は生活満足度が低下し、ディストレス(抑うつ・不 安)が強くなる傾向にあることもわかっています。上手にアウトソーシングしながら、家事分担をして、気持ちのバランスを取ることはとても大切です。様々な行政の子育て支援サービスも含めて、どのようなものが使えるか話し合っておきましょう。
例えば、利用者支援事業、地域子育て支援拠点、ファミリーサポートセンター、子育て短期支援、病児保育、家事代行サービスなどがあります。ぜひ調べてみてくださいね。


復職をイメージして準備しよう

事前にできるイメージトレーニング

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朝起きてからの動きを考えると具体的にはどんな準備が必要でしょうか?

イメージトレーニングのポイント

  • 出勤時間に間に合うように逆算すると、何時に出発して保育園に連れていくと良いのかな?
  • 朝の準備、朝ご飯にどれくらいかかるかな?
  • 何時に起きようかな?何時に寝ると睡眠時間が保てるかな?
  • 一人じゃない通勤時間にはどれくらいかかるのかな?雨の日はどうかな?道中ぐずぐずした時の時間の余裕は、何分くらい必要かな?
  • 帰り道の買い物はどこに寄ろうかな?一緒に行こうかな、ネットスーパーなどを活用するほうがいいのかな?

復職前に、復職後の通勤と同じ時間帯でお子さまと一緒に散歩してみるのもリアルにイメージする一つの方法です。特に朝は、どれくらい余裕を持っておくと安心なのか参考になると思います。

体調不良時の対応

発熱、鼻水、咳、腹痛…朝元気だったのに突然体調が変わったり、はっきりした症状がわからなかったりということも日常茶飯事です。今のうちから「もしもの時」をイメージして、その対応方法を具体的に家族で話し合っておくと安心ですね。
保育園ごとに対応方法は異なることが多いので、入所説明会でよく確認しておくようにしましょう。

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預け先から連絡が来たらどうしよう?

  • 保育施設からの連絡は最初に誰が受けるか
  • その後お迎えは誰が行くか
  • お迎えに行く時の仕事調整はどうするか
  • もしもすぐにママパパがお迎えに行けない時は誰が行けるのか
  • どこの病院に受診するか
  • 保険証や診察券、母子健康手帳、お薬手帳の管理はどうするか
  • 翌日以降の仕事調整はどうするか、いつ判断するか
受診のタイミングは?

発熱が続く、呼吸が苦しそう、食べられない、ぐったりしている…などの様子があれば、早めに医療機関の受診が必要です。
曜日や時間によってはかかりつけ医へすぐに受診できないこともあるかもしれません。その場合、どこの病院に連れていくと良いのか、事前に複数候補があることも大切です。自宅以外にも、職場や保育施設、最寄り駅、実家などの周辺でいくつか受診先の候補をみつけておくこともおすすめです。直接受診する前に電話で確認するのも良いでしょう。

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授乳方針も決めておこう

授乳に関してはママとお子さまのペースに合わせて考えられると良いですし、それは途中で変わっても構いません。一番大切なのはママとお子さまの気持ちです。決めかねて迷っている場合は、産後42週にお伝えした「そろそろ職場復帰?卒乳する前に知っておきたいおっぱいのケア」のコラムも参考にしてみてくださいね。
また、Xで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問くださってもいいですよ。

慣らし保育期間をうまく活用しよう

多くの保育施設で1〜2週間の慣らし保育期間を設けています。保育施設でお子さまが過ごす時間を段階的に延ばして、生活に慣らしていく期間です。この期間を終えてから本格的な復職をするのであれば、それまであまり行けていなかった美容院、ショッピング、ご自身の健康診断など、自分時間をまとめて作るのもおすすめです。


最後に

長く続く育児は、夫婦2人だけで頑張ろうとしないことが大切です。家族会議を通して、新しい生活のイメージを具体的にして、復職準備を進めていきたいですね。

そして、困ったときは、Xで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしております。

参考文献

※1 共働き等世帯数の年次推移,厚生労働省,2022/05/23閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/02-01-01-03.html

※2 令和元年度 家事等と仕事のバランスに関する調査報告書,内閣府男女共同参画局,2022/05/23閲覧,
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/balance_research_202003.html

※3 令和2年版男女共同参画白書(概要),内閣府男女共同参画局,2020,2022/05/23閲覧,
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r02/gaiyou/pdf/r02_gaiyou.pdf

※4 2018年社会保障・人口問題基本調査 第 6 回全国家庭動向調査報告書,国立社会保障・人口問題研究所,2020,2022/05/23閲覧,
https://www.ipss.go.jp/ps-katei/j/NSFJ6/Mhoukoku/Mhoukoku.pdf

※5 家事支援サービスについて,経済産業省,2014,2022/05/23閲覧,
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/bunka/koyou/dai7/siryou8.pdf


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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