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【助産師執筆】妊娠9週
吐き気が辛い!どう過ごす?
つわりについて知り、上手に乗り越えよう

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妊娠9週になりましたね。この時期の赤ちゃんとママの様子を見てみましょう。赤ちゃんは三頭身に変化し始め、だんだん人らしくなってきます。超音波検査では、少しずつ頭、手、足が見えてきてとっても可愛いですよ。それから、心臓の次に脳や肺などの内臓器官も作られていく大切な時期です。
ママの子宮はアボカドくらいの大きさになり、中にはチクチク違和感を感じる方もいます。見た目の変化は感じにくいですが、赤ちゃんもママも身体は大きく変化する時期です。そして、変化の1つにつわりがあります。
今回はこの時期にピークを迎えるつわりの原因やこの時期を乗り越えるポイントをお話ししていきます。

  • つわりと悪阻(おそ)について理解できる
  • 受診基準について知り必要時受診できる
  • 悪阻の治療方法について知識をつける
  • セルフケアについて知り、対処できる


つわりは聞いたことがあるけれど…悪阻ってなに?※1,4

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つわりとは

妊娠5~16週頃に発症します。何を食べても吐いてしまったり、吐き気が続く、食欲がない、においに敏感、胃のむかつき等を主症状とし、多くの場合、8~9週をピークに15~16週には胎盤が完成しホルモンバランスが整うので自然に軽快します。つわりは妊婦さんの50~80%の頻度でみられます。このように多くの人が経験するので、つわりがないと赤ちゃんが元気に育っているか心配になってしまう方もいると思いますが、全くつわりがない方もいます。つわりの有無は妊娠経過には関係ないので次の健診までリラックスして過ごしましょう。

悪阻とは

つわりの症状が更に悪化して食事が出来ず、栄養バランスが崩れてしまったり、水も飲めなくなってしまう方は脱水の危険性がある状態です。我慢せずに病院へ連絡しましょう。悪阻と診断される妊婦さんは全体の1~2%程度になります。診断方法としては、妊娠前の体重より5%以上減ってしまったり、血液検査や尿検査で普段は出ないケトン体という物質が出ます。ケトン体の出ている量で脱水の程度や栄養バランスの乱れが分かります。

どうしてつわりがあるの?

妊娠初期の身体の急激な変化や自律神経のバランスが崩れることにより、身体の変化に適応できないことが原因と考えられています。また、妊娠初期に急速に増大する血中hCGとエストロゲンが関係していると言われます※1,4


つわりの時期を乗り越えるコツ!※2,3

つわりの時期はなるべく身体を締め付けない、ゆったりとした服装で過ごし、お仕事や家事はパートナーや家族に頼ったり、お仕事も通勤時間や仕事内容について上司に相談してみましょう。つらい気持ちを溜め込まず、誰かに聞いてもらうことも大切です。つわりにはいくつかのパターンあるので、それぞれの対処方法をご紹介します。

●吐きづわり

まずは水分摂取を優先します。食事が食べられない方は、糖分が入っている飲み物を摂取するのも良いですね。食事は自分が食べられるものを、食べられるタイミングで食べましょう。食べる量も気にしなくてよいです。栄養バランスが気になる方は、サプリメントを活用するのもお勧めです。この時期は無理して食べなくても赤ちゃんは成長しているので安心してくださいね。

吐きづわりが辛いときは…

  • 温かいものよりは冷たくてさっぱりしたもの
  • 少量ずつこまめに摂取
  • のど越しが良いもの
  • 氷やアイスキャンディーから水分や糖分摂取
  • 胃や口の中をスッキリさせたい時は酸味のあるあめやミント系のタブレット
  • 歯磨きが辛い時は口をゆすぐだけでも良い
  • ビタミンB₆を摂取する

●食べづわり

何かを食べていないと気持ちが悪い食べづわりの方は、空腹を我慢すると余計に辛くなります。食事の1回量を減らし、回数を5~6回に増やしてみてください。 体重が急激に増加してしまった方は、食べるものをタンパク質やカロリーが低いものに変えるのもお勧めです。朝は血糖値が下がり、気分が悪くなる方もいます。手軽に血糖値が上げられる、あめやチョコレートがあると良いですね。

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●においに敏感で辛い

つわりの時期は以前なんともなかったにおいが苦手になり、気分が悪くなる方も多いです。 特定のにおいを避けて生活できれば良いのですが、対策としてはマスクを着用したり、温かい食べ物は少し冷ましてから食べた方が、においが出にくくなるのでお勧めです。

●よだれがたくさん出て辛い

つわりの時には自分の唾液でも気分が悪く、飲み込むことが辛い方も多いです。そんな時は、ティッシュペーパーやタオル、空のペットボトルなどの容器を持ち歩き、いつでも吐き出せるように準備しておくと安心ですね。

●つわりが辛くて食事の支度ができない

においが気になって食事の支度ができないこともあります。まだつわり以外の大きな変化は感じていないかもしれませんが、ママの身体は大きく変化し、赤ちゃんもどんどん大きくなっています。配食サービスやデリバリーサービスを活用しましょう。


つわりって病院に行ってもいいの?

つわりの症状が強いと脱水になってしまう危険性があるので、以下のような症状がある場合は次の妊婦健診を待たず病院に連絡しましょう。

こんな時は病院に連絡

  • 食事だけでなく、水分摂取も出来ない
  • 一日に何度も吐いてしまう
  • 尿量が極端に減った
  • 体重が1週間で1~2キロ減った
というような状況です。小さな命を育む大切な身体。つわりは病気じゃないから…と我慢しすぎず、受診することが大切です。

つわりの治療って何をするの?

つわりがひどく、病院で点滴を受けている様子

悪阻の場合は入院治療が必要になる可能性があります。
入院が必要ない方は外来で点滴治療を行います。点滴は水分の他に、ビタミンや糖分補給が行えたり、吐き気止めを点滴するケースもあります。その他、漢方薬の処方や内服の吐き気止めの処方をすることもあります。ドラックストアでも酔い止めや食べ過ぎに使用する吐き気止めはありますが、つわりの時に使える吐き気止めはありません。病院で赤ちゃんに影響がない薬を処方してもらうことが大切です。
つわりの程度は個人差が大きいので人と比べる必要はありません。1人1人の症状に合わせて先生が治療方針を決めてくれるので相談してみましょうね。


いかがでしたか?つわりの時期は吐き気に悩まされる日が多く辛いですが、周りのサポートを受けたり、赤ちゃんが成長しているイメージを持ちながら乗り越えましょうね。病院の医師や助産師はママと赤ちゃんのために、できる限りのサポートをしたいと思っています。不安なことや分からないことは是非かかりつけの病院に聞いてくださいね。

また、気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。


参考文献

※1 助産学講座6助産診断・技術学Ⅱ[1]妊娠期,医学書院,2013,P98

※2 株式会社ベビーカレンダー,あんしん、やさしい最新妊娠・出産オールガイド,新星出版社,2021

※3 中村公則,最新改訂版らくらくあんしん妊娠・出産,株式会社学研プラス,2021

※4 赤ちゃん&子育てインフォ,公益財団法人母子衛生研究会,2022/3/18閲覧
https://www.mcfh.or.jp/


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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