【助産師執筆】妊娠11週
どこで出産する?出産施設を考えてみよう
妊娠11週に入りましたね。今回も赤ちゃんとママの様子を見ていきましょう。赤ちゃんの体重は30g程度※1で、ミニトマトくらいの大きさです。目、鼻、口、耳等のパーツができはじめ、超音波検査では人間らしい顔つきになって、うっすら背骨が見えてきます。また脳や肝臓、胃、腎臓などの臓器が完成します。※2,3
ママの子宮はこぶし大くらいの大きさ※2,3になりますが、まだ見た目の変化がない人がほとんどです。
出産のことを考えるなんてまだ早いと感じるかもしれませんが、出産施設を決めたら予約を取る必要があり、場所によっては早期に埋まってしまうこともあります。そのため、この時期に出産施設を考える事は大切です。今回は出産施設の選び方についてお話しします。
- 出産施設にはそれぞれ特徴がある
- 自分が希望する出産方法を決めよう
- 妊娠中から産後まで満足できる施設を見つける
- 出産したい施設を決めたら早めに分娩予約を取ろう
出産施設は色々ある!※2,3,4
妊娠したら、まず考えるのが出産方法や出産施設です。人気の施設は予約が埋まってしまうので早い時期に分娩予約することをおすすめします。安心して妊娠期間を過ごし、出産できるようにイメージを膨らませていきましょう。出産の施設は大きく分けて3種類あります。
●総合病院・大学病院・院内助産
大きな病院なので、産婦人科だけでなく、小児科やNICU(新生児集中治療室)といった赤ちゃんを専門的に治療する科があります。双子などの多胎出産や切迫早産、その他持病がある場合でも、内科や外科といった診療科もあるので安心です。
病院によっては院内助産というシステムがあります。院内助産とは、病院にいながらも自宅のような温かい雰囲気の中で出産ができるように、助産師が中心となって妊娠中から産後までをサポートするシステムです。※4
ゆったりとした雰囲気の中で妊婦健診が受けられることや、何か心配な所見があった場合も医師と連携しているので安心できるのが魅力です。
●個人病院・クリニック
産婦人科医が個人で開業している病院で、入院ベッド数は19床以下の施設です。地域密着型の場合が多く、その魅力は病院によって様々です。
例えば、お祝い膳はもちろん、普段の食事も豪華、エステが受けられる、出産祝いがもらえる、妊娠中から産後のママ・パパや赤ちゃんが参加できるクラスが充実している病院やクリニックがあります。
緊急時には大きな病院に搬送されるケースがあります。
●助産院
助産師が正常分娩の場合だけを取り扱う施設です。毎回同じスタッフが担当となり、出産で入院した時に安心感があります。施設も自宅のような雰囲気のところが多く、妊婦健診もアットホームな雰囲気で行われます。
病院では、子どもの立ち合い出産は行っていない所が多いですが、助産院では可能な施設が多いです。また、助産院の先生が自宅でお産を介助してくれる、自宅出産ができる場合もあります。
妊娠中や出産中の緊急時には連携先の病院に搬送となります。
どんな出産にしたいか考えよう
人生で出産を何度か経験する方もいますが、今妊娠している赤ちゃんを出産するのは一度きりです。そして出産は様々な方法があります。
どのように迎えてあげたいか、どんな出産にしたいか助産師と一緒に、自分に合った方法を選択しましょう。
●ソフロロジー式分娩
妊娠中から出産の時の呼吸法やイメージトレーニングを行います。なるべくリラックスしてお産にのぞみ、痛みを緩和する方法です。
●フリースタイル分娩
出産の時に自分が楽な体勢を見つけて好きな姿勢でお産する方法です。
例えば、四つん這いや立位、座位、横向きに寝るなどの姿勢です。痛みを逃しやすいため、リラックスして出産できます。
●無痛・和痛分娩
麻酔を使用して、陣痛の痛みを取り除いたり、緩和する出産方法です。痛みに対して不安が強い方は安心してお産に臨めたり、産後の回復もスムーズなケースが多いです。
実施している施設が限られており、実施するにあたって決まりがあるため事前に確認しましょう。
●計画分娩
ママと赤ちゃんの状態を見ながら、事前に出産予定日を決めて入院します。陣痛を起こす薬を使用して計画的に出産する方法です。
●帝王切開
帝王切開は経腟分娩が難しいと医師が判断した場合に行う手術です。帝王切開はお腹を切開して赤ちゃんを出産する方法です。事前に手術の日を決めて行う予定帝王切開と予想外のトラブルがあり緊急で行う緊急帝王切開があります。
出産施設を決める時のポイント
出産施設はウェブサイトで調べたり、知っている施設に電話で問い合わせたり、出産経験のある親や友人に感想を聞いてみるのもお勧めです。見学が可能な病院も多いので、足を運んで施設や雰囲気をみるのもいいですね。
出産方法以外にも確認しておくと良いポイントがあるのでチェックしてみましょう。迷ってしまう方は何を大切にしたいか、優先順位をつけるとよいですね。
チェックポイント
- 健診に通ったり、陣痛がきてから病院に行く時に、自宅からの距離が遠すぎないか
- 里帰り出産をするか
- 費用はどれくらいかかるか
- 立ち合い出産は可能か
- 希望する授乳方法が実施できるか
- 入院中の部屋は大部屋か個室か
- 子どもの面会が可能か
- 自分のバースプランが実現できるか
- スタッフの対応や相性がよいか
分娩予約を取ろう
出産するためには必ず分娩予約が必要です。分娩予約を取りたい場合は、希望する病院に電話してみましょう。
妊娠を確認した病院での出産を希望する場合は、適切な時期に予約方法の説明を受けることが多いです。しかし、人気の施設は心拍が確認できた時点で予約を取る人も多いです。
すでに希望する施設が決まっている場合は、早めに予約することをおすすめします。
里帰り出産を希望する場合は、里帰り先の病院で分娩予約を取ります。その際に、いつから里帰り先での受診が必要になるのか、持参するものはあるか、等の確認をしましょう。
分娩予約を取るために本人又は家族の来院が必要なケース※5もあります。
いかがでしたか?出産施設は妊娠中から産後まで長い期間お付き合いする場所です。ママにとって安心して過ごせる場所を見つけるために、パートナーと一緒にお産について考え、出産施設を探してみましょう。親や友人の経験談も参考になりますし、出産のイメージがわいてくるので聞いてみるとよいですね。
病院の医師や助産師は、ママと赤ちゃんのためにできる限りのサポートをしたいと思っています。不安なことや分からないことは、かかりつけの病院に聞いてくださいね。
また、気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。
※1 妊娠月別 胎児の様子とママのからだ,公益財団法人母子衛生研究会2022/4/5閲覧,
https://www.mcfh.or.jp/
※2 株式会社ベビーカレンダー,あんしん、やさしい最新妊娠・出産オールガイド, 新星出版社,2021
※3 中村公則,最新改訂版らくらくあんしん妊娠・出産,株式会社学研プラス,2021
※4 院内助産・助産師外来について,厚生労働省,2022/4/5閲覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187231.html
※5 里帰り出産について,公益社団法人日本産婦人科学会,2022/4/5閲覧,
https://www.jsog.or.jp/modules/news_m/index.php?content_id=782
記事を執筆したのは…
株式会社With Midwife
代表取締役
岸畑 聖月
きしはた みづき
PROFILE14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。
本記事のイラスト:Junphant
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