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【助産師執筆】妊娠15週
来週から妊娠安定期!?でも油断は禁物。
ポイントをおさえて安心して過ごそう

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15週に入りましたね。ママと赤ちゃんを繋いでいる胎盤が完成に向かいます。これは妊娠を維持するためにとても大切なターニングポイントです。ここまで成長してくれた赤ちゃんとママの体に改めて「ありがとう」を伝えたいですね。この時期の赤ちゃんは筋肉が発達してきます。目は閉じたままですが眼球が動いて、光の認識ができるようになります。※1
ママの子宮は、恥骨結合とよばれる左右の恥骨の真ん中あたりまで大きくなります。また胎盤の完成に伴い、つわりの症状が落ち着いてきます。来週から安定期に入って嬉しい!と思う方もいるかもしれません。今回はそんな安定期に向けてのポイントをお伝えします。

  • 安定期は医療用語ではない
  • 安定期には出産の準備をしましょう
  • 安定期にも注意して欲しいトラブルについて理解できる
  • マタニティ旅行について分かる!


妊娠安定期とは?

妊妊娠安定期とは、一般的に妊娠16週(5ヶ月)から妊娠27週(7ヶ月)頃の妊娠中期を指すことが多いです。そんな安定期ですが医療用語ではありません。
昔から日本では、妊娠5ヶ月目の最初の戌の日にさらし(腹帯)を巻いて安産祈願に行くという風習があります。そこからも安定期が広がったという話もあります。
妊娠初期に比べて流産の可能性が低く、つわりも軽快して比較的過ごしやすくなる時期ではありますが、切迫流産や切迫早産などのリスクが全くなくなったという訳ではないことを知っておきましょう。



安定期の具体的な過ごし方について

体調も安定し過ごしやすくなる時期です。自分の理想のマタニティライフを過ごせるように、安定期に入ったらぜひ実践してほしい出産に向けての準備や、この時期に体験しておきたいことを5つ紹介します。

出産準備

1.出産準備をはじめる

動きやすくなるこの時期にまずして欲しいことは出産の準備です。里帰り出産をする予定の妊婦さんは、分娩を受け入れてもらえる医療機関があるかどうか確認しておく必要があります。
現在の主治医に紹介状を書いてもらい、里帰り出産をする医療機関でも事前に健診を受けるよう促されることもあります。また妊娠後期はおなかも大きくなり動くのが辛いです。
いつ破水などで緊急入院をしてもいいように、入院バックの準備もこの頃からしましょう。※2

2.両親学級などのプログラムに参加する

母親・両親学級とは、これから妊娠・出産・育児に取り組むママやパパに、赤ちゃんに関する基本的な知識を教えてくれるところです。
安定期を迎える頃になると、自治体や産院から両親学級の案内が届く事もあります。出産を迎えるまでの過ごし方や、赤ちゃんのお世話について学ぶ他、パパにママの心身の変化を理解してもらうセミナーを行う自治体や産院もあります。立ち合い出産を検討している場合には、両親学級の参加が義務付けられている産院も多いので、事前に確認しておくと良いでしょう。
今ではオンライン両親学級も多く開催されていますね。アカチャンホンポと助産師が制作したオンラインコンテンツもぜひご活用ください。

3.適度な運動をする

妊娠経過に問題がなく、医師から許可があれば運動を始める時期にお勧めです。適度な運動は、急激な体重増加を抑えるだけではなく、血行を良くし体調を整えてくれる効果もあります。
日本臨床スポーツ医学会の「妊婦スポーツの安全管理基準」によると、妊婦さんの運動の目安は、週2~3回で1回の運動時間は1時間以内が望ましいとされ、自分に合ったペースで運動をしていきましょう。(詳しくは妊娠14週の記事『妊娠中はどのくらい動いていいの?妊娠中の活動や運動についてお答えします』を参考にしてみてください)※3

栄養にいい食生活

4.栄養にいい食生活を心がける

つわりが治り食欲も増すこの時期。急激な体重増加は、出産リスクを高めるためバランスの良い食事を摂る必要があります。※4
また妊娠初期に比べて、安定期には必要な栄養が増えるため、副菜・主菜・果物の摂取量を増やすことが厚生労働省より推奨されています。例えば、朝食にみかん1個、昼食にほうれん草のお浸し、夕食に冷ややっこを追加というように、栄養バランスを意識することが大切です。※5

5.歯科検診を受診する

自治体によっては歯科の受診券が届くところもあります。妊娠中は、ホルモンの影響によって唾液の量が減り、細菌が増えやすい状態です。
また、つわりで歯磨きができない方などは口内環境が悪化し、むし歯や歯周病になることもあります。特に歯周病は、早産や低体重児の出産の原因になると言われています。赤ちゃんのためにも、安定期に入ったら歯科を受診しましょう。※6



安定期に注意して欲しいこと

安定期には入りましたが、マイナートラブルや早産などの合併症に注意する必要があります。ポイントを押えて安心して妊娠期を過ごしていきましょう。


●突然の性器出血

妊娠中は普段と比べて、性器からの出血を起こしやすいです。実際、妊娠8週ごろまでの妊娠初期では、約30%に性器からの原因不明な出血(不正出血)が見られます。この時期の出血は流産率に影響がないとも言われています。
一方、妊娠中期の出血は、あまり多くはありません。言い換えると、安定期に出血することは珍しいということです。※7
そのため安定期に入ってから出血が見られた場合は、妊娠に何らかの問題が起こったサインである可能性が高いのです。出血の量や状態によっては、ママや赤ちゃんの生命に危険が及ぶこともありますので、すぐにかかりつけ医に相談し受診しましょう。

●おなかの張り

安定期に入るとおなかも急に大きくなります。この時期は歩いたり、長時間同じ姿勢でいるとおなかが張ることもありますが、体調が良くなり活動的になったために起こる生理的なものが多く、少し横になると治まる場合がほとんどです。※8
横になり30分から1時間ほど安静にしても治まらない、痛みが徐々に強くなり持続する場合は、切迫早産の兆候や他の病気の可能性もあるのでかかつけ医に相談し受診しましょう。

●便秘

おなかの赤ちゃんは、日々成長しています。それに伴い、おなか(子宮)もどんどん大きくなります。
大きくなるおなかと、妊娠中に分泌されるホルモン(黄体ホルモン)の影響で腸の動きを妨げてしまい便秘を招きます。また運動不足や食生活も影響するので、生活全般を見直すようにしましょう。※9


気をつけてほしい、妊娠安定期の旅行に関して

妊娠後期から産後と、しばらく動きにくい時期が続きますね。安定期に入ったら旅行に行こうと計画している方もいるかもしれません。妊娠経過に問題がなければ、この安定期に行くことがベストです。
家族との思い出作りや、ママのストレス解消・気分転換にも繋がります。一方で、妊娠中の旅行は思わぬトラブルが起きたり、トラブル時の受診が遅れたりなど注意も必要です。気を付けるべき以下のポイントを押えて無理なく楽しみましょう。

妊娠中の旅行で気を付けること

  • 遠出は控える(移動時間2〜3時間以内を推奨)
  • 余裕を持った計画を立てる
  • 直前でも体調などに不安がある時は思い切って中断する
  • 旅行に行く季節を工夫する(暑すぎる・寒すぎる時期は避けましょう)
  • 飛行機の場合、妊娠時期によっては医師の診断書が必要な場合がある
  • 母子手帳・保険証を持参する
  • 海外旅行はおすすめしない
  • 人混みは避ける
  • 自己責任で旅行するという気持ちをもって行動する
万が一、旅行先でトラブルが発生した時は、まずはかかりつけ医に相談をしましょう。もしもの時のために、旅先の近くにある産婦人科などの医療施設を調べておくと安心です。

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つわりも落ち着き、比較的体調もよく過ごしやすい時期にはなりますが無理は禁物です。やりたいと思っている事もたくさんあるかもしれませんが、まずは元気な赤ちゃんを産む事が優先です。
適度な運動やバランスの良い食事を心がけて、たっぷり休息をとって、穏やかに安定期を過ごせるといいですね。

気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。


参考文献

※1 妊娠15週の母体の変化とエコー写真でわかるダウン症,ヒロクリニック,2022/4/5閲覧,
https://www.hiro-clinic.or.jp/nipt/point-15weeks/

※2 いつから始める出産準備まるわかり解説!妊娠月別準備スケジュール付,NICE BABY LAB,2022/4/5閲覧,
https://www.nicebaby.co.jp/blog/preparing_schedule

※3 妊婦スポーツの安全管理基準,日本臨床スポーツ医学会、産婦人科部会,2019,2022/4/5閲覧,
https://www.rinspo.jp/files/proposal_28-1-01.pdf

※4 妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~解説要領,厚生労働省,2021,2022/4/5閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/content/000776926.pdf

※5 妊産婦のための食生活指針,厚生労働省,2022/4/5閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3b02.pdf

※6 妊産婦における口腔健康管理の重要性,第2回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会,2019,2022/4/5閲覧,
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000488879.pdf

※7 中井章人,周産期看護マニュアルよくわかるリスクサインと病態生理,東京医学社,2008,

※8 おなかが張るということ,佐藤クリニック,2022/4/5閲覧,
https://www.sato-clinic.com/press_vol26.php

※9 森恵美,母性看護学各論第11版,株式会社医学書院,2011


記事を執筆したのは…

株式会社With Midwife
代表取締役

岸畑 聖月
きしはた みづき

PROFILE

14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。

本記事のイラスト:Junphant

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