【助産師執筆】妊娠32週
妊娠中こそ産後に向けて、
最強のパートナーシップを築くチャンス!
妊娠32週に入りましたね。今回も赤ちゃんとママの様子をみていきましょう。
この時期の赤ちゃんの体重は1400~2200g程度となります。骨格がほぼ完成し、 体重も増えていくのでだんだんと子宮内の隙間がなくなってきます。脳の発達によって、表情が豊かになると言われています。
そして、里帰り出産の方は荷造りや移動で忙しい時期ですね。また子宮が大きくなる事で尿漏れをしやすかったり、不眠がちになったりとマイナートラブルに悩まされる時期でもあります。忙しい中でも、おなかが張った時は無理せず横になって休む事が大切です。今回は生活や役割が大きく変化する産後に向けて、大切なパートナーとより絆を深めるためのお話です。
※1,2
- 妊娠中こそパートナーとたくさん話そう
- 妊娠中から赤ちゃんも一緒にコミュニケーションを
- 出産や産後をイメージするには両親学級がお勧め!
- 2人で考える産後の家事と育児
- 忙しい産後もパートナーとの時間は大切に
妊娠中もパートナーとの時間を大切に
妊娠中はホルモンバランスの変化による心の変化や身体の変化が大きい時期です。出産やこれから始まる赤ちゃんとの生活を楽しみに思う一方で、不安な気持ちもあるのが妊娠期のママの特徴的な心理です。
パートナーには一番の理解者でいてほしいと思うけれど、身体の変化がないため理解を得られないこともあります。ママも変化する身体や揺れ動く気持ちの伝え方が難しい事もあります。しかし、妊娠期こそ1つ1つ話し合い、お互いを尊重することで、絆を深める良い機会になります。改めてお互いを知るという気持ちで今までの事、これからの事について話してみましょう。実は、妊娠期に信頼関係を深めることが、産後の良好な関係にも繋がるんですよ。※3,4
可能なら2人の生活スタイルに合わせて定期的に家族会議の時間を作ることも良いですね。家族会議をする時はテレビを消す、携帯を置く等、お互いの話をしっかり聞ける環境を作ることも大切です。
ママは身体の変化で赤ちゃんの存在を感じやすいですが、パートナーは実感が湧きにくいです。2人で赤ちゃんの存在を感じられるようにコミュニケーションを取る事は、父性を高める方法の1つにもなります。また、喜びを共有することはパートナーだけでなく、ママにとっても赤ちゃんへの愛着が増したり、パートナーへの信頼が深まるなど、良い事がたくさんあります。※5
<2人でできること>
- 妊婦健診を一緒に受診する
診察時に赤ちゃんの成長を一緒に見たり、ママの体調について説明を聞き理解を深めることに繋がります。一緒に受診できないときは、2人でエコー写真を見たり、ママが医師や助産師からの説明を伝えると良いですね。パートナーも帰宅時に健診結果について積極的に聞いてみましょう。 - 胎動を感じてみる
一緒におなかに手を当てたり、出産予定日が近くなるとおなかを見ているだけでも動く様子が分かります。 - 赤ちゃんに話しかける※6
妊娠20~25週には聴覚が完成し、音がしっかりと聞こえるようになります。血液が流れる音、心臓の拍動、生活音や音楽なども聞こえています。たくさん話しかけてあげましょう。
出産や産後の生活をイメージする時は、より具体的に考えることが大切です。しかし、初めての経験では知らない事がたくさんあり、イメージが湧かないかもしれません。そんな時は両親学級に参加しましょう。
両親学級では妊娠中の身体の変化や出産について、産後の育児について専門家が説明をしてくれます。妊婦体験や沐浴の練習ができるプログラムもあります。両親学級はかかりつけの病院や自治体が主催しているものや、助産師がオンラインで実施しているものなどがあります。
また、ママが主に参加する母親学級もあります。それぞれ内容が異なる場合もあったり、立ち合い出産を希望する場合には病院での受講が必須となっている出産施設もあります。夫婦で調整し、内容や開催日時、実施場所などから選択できるとよいですね。そして、イメージが膨らんだら自分たちが望む出産方法について考え、バースプランを書いてみたり、育児に必要な物を協力して準備しましょう。
産後の育児と家事分担を考えよう
子育ての準備期間である妊娠中に育児方針や家事について話してみましょう。
例えば、子どもの頃の性格や好きだった遊び、両親との関係や生活環境、どんな子どもに育ってほしいか、どんな親になりたいか、なりたくないか、赤ちゃんが産まれても継続したい事や大切にしたい事は何かなどです。
そうやって、産後の生活をイメージして妊娠中に役割分担をしておく事で、お互い心の準備ができます。具体的な役割分担の方法は以下の2ステップがおすすめです。
STEP1 できるだけ細かく書き出す
まずは、やらなければならない事をできるだけ細かく書き出してみましょう。書き出すというのが大切なポイントです。書き出す事で可視化されるので、夫婦で共有しやすくなります。
STEP2 24時間をイメージして役割を決める
書き出したらそれぞれ担当を決めます。担当を決める時には産後の生活をイメージして24時間のグラフを作ってみましょう。そしてお互いの授乳や仕事など、決まった予定を書いていきます。
次に先ほどリストアップした家事などを分担していきます。慣れないことを担当する場合は出産までに方法を伝えたり、教えあったりしましょう。2人の時間をどこで取るかも忘れずに考えてみましょう。
忙しい産後こそパートナーとの時間を大切に
産後は身体が完全に回復しない中で慣れない育児が始まります。ママは産後のホルモンバランスの影響で赤ちゃんのお世話に意識が向くようになっています。そんな時期こそパートナーや家族の協力が必須になります。いつも以上にコミュニケーションを取り、赤ちゃんだけでなくお互いのことを大切にしましょう。
赤ちゃんが寝ている時に2人だけの時間を持つ、定期的に家族会議の時間を確保することも大切です。里帰り出産の方は、自宅に帰るとまた環境の変化があるので、そのタイミングで話し合いの時間を作ることがおすすめです。
いかがでしたか?妊娠期間こそ、これから始まる新たな生活に向けてパートナーとの絆を深める良い機会になります。産後の生活を具体的にイメージする事でギャップを減らす事ができます。話し合う中で意見がぶつかる事や、話し合いの進め方が分からなくなってしまうこともあると思います。そんな時は病院の医師や助産師に相談してみてくださいね。
また、気になることはXで「#ミッドワイフコール」をつけてご質問ください。みなさんからの疑問・質問をお待ちしています。
※1 胎児計測と胎児発育曲線について ,日本産科婦人科学会周産期委員会,2022/4/22閲覧,
https://www.jaog.or.jp/sep2012/JAPANESE/PUB/ninken/jsog_20111024.pdf
※2 株式会社ベビーカレンダー,最新 妊娠・出産オールガイド,新星出版社,2021
※3 荻田和秀,最新改訂版らくらくあんしん妊娠・出産,学研プラス,2021
※4 妊娠期・育児期のパートナーシップ実態把握調査レポート,株式会社マクロミル,2022/4/12閲覧,
https://www.macromill.com/assets/files/pdf/20200827-activities-experiences-report.pdf
※5 岡山久代,妊婦の胎児への愛着に対する実母ならびに夫との関係の影響―パス解析による因果モデルの検討―,日本看護研究学会雑誌Vol.25,No.5,2002
※6 10.ママの声、聞こえてる?,妊娠中の体重増加とおなかの赤ちゃんの成長,赤ちゃん&子育てインフォ,母子衛生研究会,,2022/4/12閲覧,
https://www.mcfh.or.jp/jouhou/ninshin/chouryoku.html
記事を執筆したのは…
株式会社With Midwife
代表取締役
岸畑 聖月
きしはた みづき
PROFILE14歳の闘病の経験から助産師を志す。学生時代に起業を経験し、助産学・経営学を学ぶため京都大学大学院医学研究科に進学。
卒後は助産師として年間約2,000件のお産を支える総合病院に勤務。その後病院の外でもケアが重要と感じ、2019年株式会社With Midwifeを創業。企業に助産師を導入する顧問助産師サービス「The CARE」などを展開する。
現在も病院で勤務しながら、株式会社赤ちゃん本舗や信州大学との連携プロジェクトを統括するほか、公益財団法人大阪産業局で女性起業家支援にも従事。また内閣府主催少子化社会対策大綱における検討会やこども家庭庁に関する大綱創設に関する検討会に有識者として出席している。
W/Storyの全記事を株式会社With Midwifeが執筆・監修。
本記事のイラスト:Junphant
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